フジテレビの人気ホラー番組『ほんとにあった怖い話』(通称:ほん怖)は、実際に人々が体験したとされる心霊現象や不可思議な出来事をもとに制作されています。
しかし、番組を見ていると「本当にこんなことが起きたのだろうか」「幽霊の姿や恐ろしい出来事も、実際に体験した内容をそのまま再現しているのだろうか」と疑問に感じることもあるのではないでしょうか。
特に注目したいのが、フジテレビが使用している「体験談をもとにドラマ化している」という表現です。
誰かが体験したと語る出来事を作品の出発点にしていることと、その出来事を一切変更せずに映像化していることは、必ずしも同じではありません。
実際に『ほん怖』では、視聴者から寄せられた体験談などをもとに、脚本家や監督、俳優、制作スタッフが一つのテレビドラマを作り上げています。
一方、番組の制作陣は過去のインタビューで、通常のドラマのように起承転結を整えるよりも、実際の体験談に含まれる説明のつかない怖さを大切にしてきたことを明かしています。
では、『ほん怖』のどこまでが実話で、どこからがドラマとしての演出なのでしょうか。また、怖い話はどこから集められ、投稿された体験談はどのように作品になっているのでしょうか。
この記事では、フジテレビの公式資料や制作陣のインタビューをもとに、体験談の収集方法、InstagramやXでの募集、原作漫画『HONKOWA』との関係、脚本・演出によるドラマ化の仕組みを整理します。
ほん怖は本当に実話?体験談の投稿・原作とドラマ化の仕組み
『ほんとにあった怖い話』は、1999年にフジテレビで放送が始まったホラー番組です。一般の人が体験したとされる心霊現象や不可思議な出来事を題材に、短編ドラマをオムニバス形式で紹介しています。
現在の番組でも稲垣吾郎さんが「ほん怖クラブ」のリーダーを務めており、視聴者から寄せられた体験談を紹介するスタイルが受け継がれています。
ただし、「実話をもとにしたドラマ」であることと、「ドラマで描かれた出来事がすべて現実に起きたと証明されていること」は別です。
まず、番組の公式説明と制作過程から分かることを整理します。
| 疑問 | 確認できた内容 |
|---|---|
| ほん怖は実話なのか? | 実際に誰かが体験したとされる話をもとに制作されている |
| 怖い話はどこから集める? | 漫画雑誌の読者投稿、テレビ番組への投稿、制作関係者の知人の体験談など |
| Instagramでも募集していた? | 公式アカウントは確認できるが、過去の具体的な募集投稿は未確認 |
| Xでの募集はあった? | 2023年にSNS企画向けの「恐怖幽便」を募集した実績あり |
| 原作は漫画なのか? | 『ほんとにあった怖い話』『HONKOWA』が番組の原作として表記されている |
| 体験談はそのままドラマになる? | 脚本・演出を経て映像化される。原文からの変更範囲は作品ごとに不明 |
| 本当に体験した人物は分かる? | 高城れにさんなど、体験者が公表されている作品もある |
| 心霊現象は証明されている? | 番組側の説明だけで客観的に実証されたとは判断できない |
フジテレビは、体験談をもとにした作品であることを番組の特徴として説明しています。2019年の20周年記念インタビューでも、制作陣が実際の体験談を大切にしてきたことが語られました。
一方、体験した人が何を見聞きしたのか、その出来事がなぜ起きたのか、完成したドラマでどの程度の演出が加えられているのかについては、別々に考える必要があります。
参考:フジテレビ公式・ほん怖20周年記念インタビュー、FOD公式・ほんとにあった怖い話の紹介
ほん怖は本当に実話なのか?「体験談をもとに」という言葉の意味

『ほんとにあった怖い話』という番組名を聞くと、実際に発生した出来事を忠実に再現した作品だと考える人もいるかもしれません。
しかし、フジテレビの公式説明では、実際に人々が体験したとされる心霊現象や不可思議な出来事を「もとに」ドラマ化していると紹介されています。
ここで重要なのは、「もとに」という言葉が、体験談を作品の出発点にしていることは示していても、完成したドラマのすべての場面が体験談と一致していることまで保証する表現ではないという点です。
例えば、実際にある人物が「夜中の廊下で不思議な人影を見た」と語ったとします。その話をテレビドラマにする場合、人影をどのような姿で登場させるのか、画面のどこに映すのか、どのタイミングで見せるのかといった判断が必要になります。
さらに、照明を暗くしたり、足音や効果音を加えたり、俳優の表情を長く映したりすることで、視聴者が感じる怖さは大きく変わります。
こうした演出が行われていたとしても、元になった体験談そのものが作り話だったことにはなりません。一方、ドラマに登場した人影の姿や動きが、体験者の見たものと一切違わないとも限りません。
実際に誰かが体験したと語った内容と、それをテレビ番組としてどのように表現したのかは、分けて考える必要があります。
脚本家や監督がいるということは、脚色されているのか?
『ほん怖』はテレビ局が制作するドラマであり、作品ごとに脚本家や監督、出演者、撮影・音響・編集などのスタッフが関わっています。
一般的に、実際の体験談を映像化する際には、限られた放送時間の中で状況を伝えられるように、場面の構成や会話の見せ方などを考える必要があります。
場合によっては登場人物の説明を整理したり、出来事の順番を入れ替えたり、元の体験談にはない会話を加えたりすることも、ドラマ制作では考えられます。
こうした変更は広い意味で「脚色」と呼ばれますが、どこからを脚色とするのかについて、一律の明確な境界線があるわけではありません。
実際に起きた出来事を説明するための会話を追加することと、元の体験談に存在しなかった大きな事件を新たに作ることでは、変更の程度も異なります。
ただし、脚本家や監督が関わっているという事実だけで、『ほん怖』が元の体験談を大幅に変更していると断定することもできません。
どの場面が体験者の証言に基づいていて、どの場面に制作側の演出や変更が加わっているのかについては、元の投稿文や詳しい制作資料がなければ判断できないためです。
現実離れした幽霊の映像も、そのまま実際に起きたことなのか?
『ほん怖』では、ときに人間とは思えない姿をした存在や、現実では説明しにくい不可思議な現象が描かれることがあります。
こうした映像を見て、「実際の体験者にも、まったく同じ姿で見えていたのだろうか」と疑問に感じる人もいるでしょう。
しかし、映像作品には特殊メイク、照明、カメラワーク、音響、編集など、怖さを表現するための技術が使われます。
例えば、体験者が一瞬だけ見たと語る存在を、視聴者に分かりやすく見せるために画面へ映し出すことも考えられます。反対に、姿をはっきり見せないことで怖さを強める表現もあります。
ただし、実際にどの作品でどのような変更を加えたのかは、制作側が説明していなければ分かりません。
作品に登場する幽霊の姿を、そのまま客観的な記録映像のように受け取ることは適切ではありませんが、映像表現が現実離れしていることだけで、元の体験談が存在しなかったと決めつけることもできません。
『ほん怖』を考えるうえでは、「体験談として語られた出来事」「心霊現象が実際に起きたかどうか」「ドラマとしての映像表現」という3つを区別することが重要です。
ほん怖は起承転結を作るために脚色しているのか?
通常のドラマでは、視聴者に分かりやすい物語を届けるため、起承転結や明確な結末を意識することがあります。
しかし、『ほん怖』の制作陣は、必ずしもそうした構成を重視してきたわけではありません。
2019年の20周年記念インタビューで、後藤博幸プロデューサーは、起承転結が整っていなくても、実際の体験者でなければ思いつかないような不可解な出来事に魅力を感じていたと説明しています。
また、鶴田法男監督も、映画の作り手としては物語に起承転結を作りたくなるものの、『ほん怖』では明確な結末がなくても怖さを感じられる映像を目指していたと語っています。
つまり、『ほん怖』はテレビドラマでありながら、あえて原因や結末を説明しないという制作方針も大切にしてきた番組なのです。
「なぜ幽霊が現れたのか」「あの出来事は結局何だったのか」といった疑問が解決しないまま終わることも、作品の特徴の一つといえます。
ただし、起承転結を整えないことと、体験談を一切変更せずに映像化していることは同じではありません。
視聴者に怖さを伝えるための脚本や演出は行われており、そのうえで説明のつかない出来事をあえて残すという方法が取られてきたと理解するのが自然でしょう。
参考:フジテレビ公式「プロデューサー×監督×編集者 SPトーク」、フジテレビ公式・鶴田法男監督インタビュー
ほん怖の怖い話はどこから集めている?視聴者投稿以外の収集方法も判明
『ほん怖』の体験談は、どこから集められているのでしょうか。
一般の視聴者が投稿した怖い話をドラマ化しているイメージが強いかもしれませんが、実際には複数の収集経路があったことが制作陣のインタビューから分かっています。
特に詳しいのが、2019年に番組20周年を記念して公開された、後藤博幸プロデューサー、鶴田法男監督、原作漫画誌の編集関係者によるインタビューです。
ここでは、漫画雑誌時代からテレビ番組へと受け継がれた体験談の収集方法が紹介されています。
最初は漫画雑誌の読者から届いた手紙だった
『ほんとにあった怖い話』の原点は、朝日ソノラマが発行していた女性向けホラー・オカルト漫画誌『ハロウィン』にあります。
2019年のインタビューによると、『ハロウィン』に掲載された心霊漫画への反響をきっかけに、読者から自分自身の霊体験を綴った手紙が届くようになりました。
編集部は、寄せられた体験談を漫画化してまとめる企画を進め、それが『ほんとにあった怖い話』という漫画誌につながったと説明しています。
つまり、一般の人から寄せられた体験談をもとに作品を制作するという仕組みは、フジテレビでの放送が始まる以前から存在していたことになります。
テレビ番組が始まるとフジテレビにも体験談が届くようになった
1999年にテレビ版『ほん怖』が始まると、フジテレビにも心霊体験や不可思議な出来事に関する話が寄せられるようになりました。
後藤プロデューサーは2019年のインタビューで、番組開始後にフジテレビへ体験談が届くようになったことを明かしています。
鶴田監督も、視聴者からの投稿をもとに脚本が作られた作品が数多くあると説明しています。
このことから、テレビ版でも実際の視聴者の投稿が作品制作の材料になっていたことが確認できます。
監督や制作関係者の知人から聞いた話もドラマになっている
今回の調査で特に興味深かったのが、一般公募以外から集められた体験談も作品になっているという点です。
鶴田監督は2019年のインタビューで、自分の知り合いから聞いた体験談をもとに制作された作品もあると説明しています。
具体例として挙げたのが、2016年に放送された『もう一人のエレベーター』です。
この作品は、鶴田監督が行きつけにしていた地元の中華料理店の店主の体験談をもとに制作されたと明かされています。
つまり、必ずしも番組へ応募された話だけがドラマ化されるわけではありません。監督が日常生活の中で聞いた話も、作品の題材になっているのです。
さらに、高城れにさんやセントチヒロ・チッチさんのように、出演者本人が体験したと語る出来事をドラマ化した例もあります。
ただし、過去にこのような方法で体験談を集めていたことと、2026年現在もすべて同じ方法で新作を制作していることは別です。
個々の作品について、誰の体験談がどのような経路で採用されたのかが公表されていない場合もあります。
| 体験談の収集経路 | 確認できた内容 |
|---|---|
| 漫画雑誌の読者からの手紙 | 『ほんとにあった怖い話』の成立につながった |
| フジテレビへの視聴者投稿 | 投稿をもとに脚本が作られた実績あり |
| 監督・制作関係者の知人 | 2016年『もう一人のエレベーター』などの具体例あり |
| 出演者本人の体験談 | 高城れにさん、セントチヒロ・チッチさんなどの作品あり |
| SNSを使った募集 | 2023年の公式X企画で募集実績あり。ドラマ原案への採用とは区別が必要 |
このように、『ほん怖』の怖い話は、漫画雑誌への手紙、テレビ番組への投稿、制作関係者が聞いた話、出演者本人の体験など、さまざまな経路から集められてきました。
体験談をもとに作品を制作するという基本的な考え方は共通していますが、すべてのエピソードが同じ方法で集められているわけではありません。
出典:フジテレビ公式・2019年の制作陣インタビュー
InstagramやXでも怖い話を募集しているのか?現在の応募方法は?
『ほん怖』の怖い話を募集する方法については、InstagramやXなどのSNSを思い浮かべる人もいるでしょう。
実際に、番組には公式Instagramアカウントと公式Xアカウントがあり、過去にはSNSを使った企画も実施されていました。
ただし、SNSで怖い話を募集することと、その投稿がテレビドラマの原案として採用されることは、必ずしも同じではありません。
公式Instagramアカウントは存在する
『ほんとにあった怖い話』の公式Instagramアカウントは「honkowa_fujitv」です。
2023年の番組関連報道でも、フジテレビの公式Instagramとしてこのアカウントが紹介されています。
一方、今回の調査では、過去にInstagramで体験談を募集した具体的な投稿や、当時の応募条件までは確認できませんでした。
また、2026年10月31日時点で、Instagramを通じて新作ドラマの原案を常時募集しているという公式案内も確認できていません。
そのため、公式アカウントが存在することだけを根拠に、現在もInstagramで体験談の応募を受け付けていると判断することはできません。
公式アカウント:『ほん怖』公式Instagram
2023年には公式Xで「恐怖幽便」を募集していた
Xについては、具体的な募集企画の実績が確認できました。
2023年8月19日に放送された『ほんとにあった怖い話 夏の特別編2023』では、SNS連動企画「#みんなでほん怖」が実施されています。
この企画では、フジテレビの藤井弘輝アナウンサーと鈴木唯アナウンサーが、番組公式Xのスペースで放送を見ながらトークを行いました。
その中で、番組公式Xで事前に募集した「恐怖幽便」を紹介することも案内されていました。
ただし、この募集はSNS連動企画で紹介するためのもので、投稿された話が実際にドラマの原案として採用されたと確認されたわけではありません。
過去にSNSで募集企画が行われていたことは事実ですが、それを現在のドラマ原案の応募方法として案内することは適切ではないでしょう。
参考:WEBザテレビジョン「ほん怖・SNSを使った初の試み」(2023年8月16日)
2026年現在、怖い話はどこに応募すればいい?
今回確認したフジテレビの公式サイトでは、2026年10月31日時点で利用できる常設の体験談応募フォームや、募集期限が明示された新しい公募案内は確認できませんでした。
どうやら常に怖い話を募集しているわけではないようです。
したがって、現在も体験談を受け付けているかどうか、応募された話が新作ドラマの原案として採用される仕組みがあるのかについては、現時点では分かっていません。
実際に応募したい場合は、フジテレビの『ほん怖』公式サイトや公式SNSで、新たな募集案内が出るのを待つか、直接番組に確認する必要がありそうです。
なお、募集が確認できていない段階で、公式アカウントへ体験談を送れば必ず読んでもらえる、あるいはドラマに採用されると考えることはできません。
投稿された体験談はどこまで脚色されている?似た語り出しになる理由も考察
『ほん怖』の制作過程について考えると、もう一つ気になるのが、投稿された体験談が完成したドラマになるまでに、どの程度変更されているのかという点です。
テレビドラマには脚本家や監督が関わっているため、視聴者から寄せられた文章をそのまま読み上げるだけで作品が完成するわけではありません。
俳優が演じるための場面を作り、会話や人物の動きを考え、撮影した映像を編集する必要があります。
しかし、その過程でどこまで元の体験談が変更されているのかは、作品ごとの資料がなければ分かりません。
例えば、実際の体験では数分間しか起きていなかった出来事を、ドラマの中で長く見せている可能性もあります。反対に、長い体験談の一部だけを取り上げて、短編ドラマにまとめている場合も考えられます。
こうした制作上の工夫は十分に考えられますが、特定の作品について実際にそうした変更があったと断定するには、元の体験談との比較が必要です。
脚色と演出は同じなのか?
「脚色」という言葉は、元の話を作品として表現するために、内容や構成などへ変更を加える意味で使われます。
一方、「演出」は、俳優の演技、映像の見せ方、音響、照明、間の取り方などを通じて、作品の印象を作り上げることです。
両者は関連していますが、まったく同じではありません。
例えば、体験者が見たと語る幽霊の姿を特殊メイクで再現することは映像表現の一つです。しかし、元の体験談に存在しなかった人物や出来事を新たに追加した場合は、内容そのものに変更が加わることになります。
どこまでを脚色と呼ぶかについて一律の境界を設けることは難しいものの、映像として怖く見せるための工夫と、体験談の出来事自体を変更することは区別して考えたいところです。
「これは、私がまだ○○だった頃の話です」という語り出しが似ているのはなぜ?
『ほん怖』を見ていると、「これは、私がまだ学生だった頃の話です」といったように、過去の体験を振り返る形で物語が始まる印象があります。
さまざまな人から集められた体験談なのに、似たような語り出しが続くことを少し不思議に感じる人もいるかもしれません。
ただし、番組では体験談をもとに脚本家や監督がドラマを制作しています。そのため、作品としての語り方やナレーションに一定の統一感が生まれていても不自然ではありません。
実際、2019年の制作陣インタビューでは、後藤プロデューサーが、不可解な出来事の理由が最後まで分からないことを伝えるナレーションが『ほん怖』ではよく使われると説明しています。
ただし、投稿された体験談の文章を、番組側がすべて同じような言い回しに書き換えていると確認されたわけではありません。
似た語り出しが使われることは、体験談が作り話である証拠というよりも、長年続いてきた『ほん怖』らしい演出や語り方の特徴として考えるほうが自然でしょう。
明確な結末がなくても怖いという制作方針
『ほん怖』の制作方針を理解するうえで参考になるのが、鶴田法男監督のインタビューです。
鶴田監督は、幽霊が登場するタイミングや、恐怖を感じさせるための間の取り方を工夫していると説明しています。
例えば、視聴者が「そろそろ何かが出る」と感じる場面で、予想した瞬間から少しタイミングをずらすことによって、別の怖さを生み出す方法も紹介しています。
つまり、実際の体験談を出発点にしながらも、視聴者が怖さを感じるように映像の見せ方を工夫していることが分かります。
一方で、制作陣は起承転結が整った物語よりも、説明のつかない出来事が残る怖さを大切にしてきたと語っています。
『ほん怖』は、体験談の不可解さを残すことと、ホラードラマとして怖く見せることを両立させようとしてきた番組だと考えられます。
参考:フジテレビ公式・鶴田法男監督インタビュー、フジテレビ公式・2019年の制作陣インタビュー
ほん怖の原作は漫画?『HONKOWA』とテレビ番組の関係
『ほんとにあった怖い話』はテレビ番組として広く知られていますが、シリーズの原点は漫画雑誌にあります。
フジテレビの公式サイトでも、番組の原作として『ほんとにあった怖い話』『HONKOWA』(朝日新聞出版)が表記されています。
そのため、漫画雑誌とテレビ番組の間には、シリーズの成立や制作に関わる歴史的なつながりがあります。
ただし、テレビ版で放送されたすべてのエピソードが、特定の漫画作品をそのまま実写化したものだという意味ではありません。
原点はホラー漫画誌『ハロウィン』
シリーズの原点は、朝日ソノラマが発行していた女性向けホラー・オカルト漫画誌『ハロウィン』です。
当時の編集部には、読者から心霊体験を綴った手紙が寄せられるようになり、それらを漫画化する企画が生まれました。
こうして『ハロウィン』の増刊として『ほんとにあった怖い話』が刊行され、その後、独立した雑誌としても展開されました。
国立国会図書館の書誌情報でも、『ほんとにあった怖い話』は1987年に『ハロウィン』の増刊として刊行が始まり、その後に独立した雑誌となったことが確認できます。
現在の『HONKOWA』へとつながるシリーズの歴史は、テレビ放送の開始よりも古いのです。
1991年のビデオ作品を経て1999年にテレビ番組へ
漫画誌として展開されていた『ほんとにあった怖い話』は、その後、鶴田法男監督によってビデオ作品として映像化されました。
1991年から1992年にかけて制作されたビデオ作品を、後にフジテレビの後藤博幸プロデューサーが見たことが、テレビ版の企画につながったとされています。
鶴田監督は公式インタビューで、後藤プロデューサーからホラー番組を作りたいという話を持ちかけられ、『ほんとにあった怖い話』をテレビ化することを提案したと説明しています。
そして1999年、フジテレビでテレビ版『ほんとにあった怖い話』の放送が始まりました。
このように、漫画雑誌、ビデオ作品、テレビ番組という順番でシリーズが展開されてきました。
| 時期 | シリーズの展開 |
|---|---|
| 1987年 | 漫画誌『ハロウィン』の増刊として『ほんとにあった怖い話』の刊行が始まる |
| 1991~1992年 | 鶴田法男監督によるビデオ作品が制作される |
| 1999年 | フジテレビでテレビ版の放送が始まる |
| 2004年 | 稲垣吾郎が「ほん怖クラブ」のリーダーを担当 |
| 2026年 | 『秋の特別編2026』として新作と過去作品を放送 |
ただし、漫画誌が原作として表記されているからといって、テレビ版のすべてのエピソードに対応する漫画が存在するとは限りません。
実際に、番組への投稿や鶴田監督の知人の体験談をもとに脚本が作られた作品もあります。
原作漫画とテレビ版の関係については、シリーズ全体の成り立ちと、個々の作品の題材を分けて考えることが重要です。
参考:国立国会図書館「ほんとにあった怖い話」書誌情報、フジテレビ公式・番組成立の経緯
本人の体験がドラマになったほん怖作品は?実際の体験者が分かる3つの例
ここまで、一般の視聴者から寄せられた体験談や、制作スタッフの知人の話がドラマ化されていることを紹介しました。
さらに『ほん怖』には、実際の体験者が公表されている作品もあります。
その代表例が、2016年の『もう一人のエレベーター』、2022年の『憑けてくる』、2023年の『視えない来客』です。
| 作品 | 放送年 | 体験談の出どころ |
|---|---|---|
| もう一人のエレベーター | 2016年 | 鶴田法男監督が通っていた中華料理店の店主 |
| 憑けてくる | 2022年 | 高城れに本人の心霊体験 |
| 視えない来客 | 2023年 | セントチヒロ・チッチ本人の体験談 |
2016年『もう一人のエレベーター』|監督の知人の体験談
2016年の『夏の特別編』で放送された『もう一人のエレベーター』は、乃木坂46のメンバーが主演した作品です。
鶴田監督は2019年のインタビューで、この作品について、自身が行きつけにしていた地元の中華料理店の店主の体験談をもとに制作されたと説明しています。
一般の視聴者から寄せられた投稿ではなく、監督が直接聞いた体験談が作品になった例です。
ただし、店主が実際にどのような言葉で体験を語ったのか、完成したドラマにどの程度の脚色が加えられているのかまでは確認できません。
2022年『憑けてくる』|高城れに本人の心霊体験
2022年8月20日に放送された『夏の特別編2022』では、ももいろクローバーZの高城れにさんが主演する『憑けてくる』が放送されました。
フジテレビは、この作品について高城さん自身が実際に体験したと語る心霊現象をドラマ化したものだと説明しています。
さらに、高城さんだけでなく、百田夏菜子さん、玉井詩織さん、佐々木彩夏さんも本人役で出演しました。
高城さんが体験したとされる金縛りや不可思議な出来事を、本人たちが登場するドラマとして制作した例です。
ただし、本人が出演しているからといって、すべての会話や映像が当時の出来事を一切変更せずに再現したものだと確認されたわけではありません。
出典:フジテレビ公式「ももクロ・高城れにの心霊実体験をドラマ化!」
2023年『視えない来客』|セントチヒロ・チッチ本人の体験談
2023年8月19日放送の『夏の特別編2023』では、元BiSHのセントチヒロ・チッチさんが主演する『視えない来客』が放送されました。
この作品は、チッチさん自身が実家で体験したと語る不可思議な出来事をもとに制作されています。
チッチさんは本人役で出演し、母親役を宮崎美子さん、弟役を奥智哉さんが演じました。
また、チッチさんは放送前のインタビューで、自分の体験談をもとに作品が制作され、母親や弟の姿も忠実に再現されていると説明しています。
これは、体験談の内容をできるだけ忠実に再現しようとしたことを、体験者本人が明かしている例として参考になります。
ただし、本人が忠実な再現だったと感じていることと、作中の心霊現象が客観的に実証されていることは別です。また、どの場面に演出や変更が加えられたのかについても、本人の説明だけですべてが分かるわけではありません。
出典:Real Sound「セントチヒロ・チッチ、本人役で『ほん怖』初主演」(2023年8月10日)
この3作品を比較すると、『ほん怖』には一般の視聴者の投稿だけでなく、監督の知人や出演者本人の体験談をもとに制作された作品もあることが分かります。
また、体験者本人が忠実な再現だったと説明しているケースもあります。
一方、それぞれの作品について、実際に何が起きたのか、どの場面までが体験者の記憶に基づいているのか、どの部分がドラマとしての演出なのかをすべて確認できるわけではありません。
体験者が公表されている作品であっても、体験談の存在と心霊現象の客観的な真偽は区別する必要があります。
2026年の新作『隣人』も実話なのか?元になった体験談は公表されている?
2026年10月31日放送の『ほんとにあった怖い話 秋の特別編2026』では、乃木坂46の井上和さんが主演する完全新作『隣人』が放送されます。
『隣人』は、大学生の田山梨菜が古いアパートに引っ越したことをきっかけに、隣室からの視線や不可解な足音などに悩まされる物語です。
フジテレビの公式サイトによると、脚本は三宅隆太さん、演出は下畠優太さんが担当しています。
| 項目 | 2026年新作『隣人』 |
|---|---|
| 放送日 | 2026年10月31日 |
| 主演 | 井上和(乃木坂46) |
| 役名 | 田山梨菜 |
| 脚本 | 三宅隆太 |
| 演出 | 下畠優太 |
| 元になった体験談の投稿者 | 現時点では確認できず |
| 体験談の募集・採用経路 | 現時点では確認できず |
番組全体については、フジテレビが実際の体験談をもとに制作するシリーズだと説明しています。
しかし、今回確認した『隣人』の公式作品情報では、具体的に誰の体験談をもとにしたのか、どのような経路でその話が制作側に届いたのかまでは明らかにされていません。
また、元の体験談と完成したドラマの内容がどの程度一致しているのかについても、詳しい制作資料は確認できませんでした。
そのため、現時点では『隣人』の出来事がすべて実際に起きたと断定することも、反対に脚本家が最初からすべて創作した物語だと判断することもできません。
番組全体の制作方針と、個別の作品について確認できる情報を分けて考えることが重要です。
なお、2026年の『ほん怖』では『隣人』のほかに、過去の人気作品6本も放送されます。新作と再放送の違いや出演者、各作品のあらすじについては、別記事で詳しく整理しています。
関連記事:ほん怖2026の新作は何本?再放送6作品の出演者・放送時間を整理
出典:フジテレビ公式『ほんとにあった怖い話』作品紹介
まとめ|ほん怖は体験談を出発点に作られるホラードラマ
『ほんとにあった怖い話』は、実際に誰かが体験したとされる心霊現象や不可思議な出来事をもとに制作されるホラードラマです。
フジテレビの公式資料や制作陣のインタビューからは、漫画雑誌の読者から届いた手紙、テレビ番組への視聴者投稿、監督の知人の体験談など、さまざまな経路から怖い話が集められてきたことが確認できました。
また、高城れにさんやセントチヒロ・チッチさんのように、出演者本人が体験したと語る出来事をドラマ化した例もあります。
一方、今回の調査で特に重要だったのは、「体験談をもとに制作している」という説明と、「現実に起きた出来事を一切変更せずに再現している」という説明は同じではないという点です。
『ほん怖』には脚本家や監督、俳優、撮影・音響・編集などのスタッフが関わっています。視聴者に怖さを伝えるための映像表現が加わることは、テレビドラマとして自然な制作過程です。
ただし、脚本家や監督が関わっているという理由だけで、元の体験談が大幅に変更されていると断定することもできません。どこまで忠実に再現しているかは、作品ごとの詳しい資料がなければ判断できないためです。
さらに興味深いのは、制作陣が通常のドラマのような明確な起承転結を必ずしも重視していなかったことです。
後藤博幸プロデューサーや鶴田法男監督は、実際の体験談に含まれる説明のつかない出来事を大切にし、原因が分からないまま終わる怖さも作品の特徴として追求してきたと語っています。
一方で、幽霊を登場させるタイミングや間の取り方など、映像として怖く見せるための工夫も行われています。
つまり、『ほん怖』については、すべてが実際に起きたことをそのまま再現した作品だと考えるのも、すべてが最初から作られた創作だと決めつけるのも適切ではありません。
誰かが体験したと語る出来事を出発点に、脚本家・監督・俳優・制作スタッフが一つのホラードラマとして表現した作品。
これが、現在確認できる公式情報と制作陣の説明を踏まえた『ほんとにあった怖い話』の捉え方だと考えられます。
番組を見ていてあまりにも現実離れした映像が登場した場合も、その場面が実際の体験談でどのように語られていたのか、どこまでが映像上の表現なのかという視点で考えてみると、また違った見方ができるかもしれません。
主な参考資料と確認日
情報確認日:2026年10月31日。フジテレビの『ほんとにあった怖い話』公式サイト、2019年の20周年記念インタビュー、鶴田法男監督のインタビュー、FODの番組解説、国立国会図書館の漫画誌書誌情報、2016年・2022年・2023年の作品情報、2023年の公式X連動企画、2026年新作『隣人』の公式作品情報などを確認しました。
フジテレビは『ほん怖』について、実際に人々が体験したとされる心霊現象や不可思議な出来事をもとに制作される番組だと説明しています。ただし、個々の心霊現象が客観的に実証されていることや、体験談が一切変更されずに映像化されていることを意味するものではありません。
脚本・演出による変更の範囲については、すべての作品で元の体験談が公開されているわけではないため、確認できない部分を断定していません。語り出しの統一感に関する記述は作品を見た際の印象をもとにした考察であり、番組側が投稿文を一律に書き換えていると確認されたものではありません。
2026年10月31日時点で、過去に公式Instagramで行われたとされる体験談募集の具体的な投稿や、現在利用できる常設の応募フォームは確認できていません。2023年の公式X企画で募集された「恐怖幽便」についても、ドラマ原案への採用実績が確認されたわけではありません。
2026年新作『隣人』については、公式に公表された出演者・脚本・演出・あらすじをもとに記載していますが、元になった体験談の投稿者や募集経路、脚色の範囲については確認できていません。
- フジテレビ公式『ほんとにあった怖い話』番組サイト
- フジテレビ公式「プロデューサー×監督×編集者 SPトーク」(2019年・20周年記念インタビュー)
- フジテレビ公式「鶴田法男監督インタビュー」(番組成立の経緯・映像演出)
- FOD公式「あなたの知らない恐怖がここに。『ほん怖』などFODで見れる珠玉の国内ホラードラマ」(2026年8月13日)
- 国立国会図書館「ほんとにあった怖い話」書誌情報(漫画誌の刊行・変遷)
- WEBザテレビジョン「ほん怖・SNSを使った初の試み」(2023年8月16日・公式Xでの恐怖幽便募集)
- 『ほんとにあった怖い話』公式Instagram
- フジテレビ公式「ももクロ・高城れにの心霊実体験をドラマ化!」(2022年)
- Real Sound「セントチヒロ・チッチ、本人役で『ほん怖』初主演 自身の恐怖体験談をドラマ化」(2023年8月10日)
- フジテレビ公式『ほんとにあった怖い話』歴代作品リスト
- フジテレビ公式『ほんとにあった怖い話 秋の特別編2026』作品紹介(新作『隣人』)


コメント