ニデックの会計不正で永守重信氏ら9人に責任|損害賠償はどうなる?調査結果を整理

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2026年10月16日、ニデックは会計不正問題について、創業者の永守重信氏ら計9人に損害賠償責任が認められるとする調査結果を公表しました。

責任を指摘されたのは、永守氏や前社長の岸田光哉氏、元社長の関潤氏など、歴代の経営陣を含む9人です。ニデックは調査結果を受け、損害賠償請求などの法的措置を検討する方針を示しています。

ただし、今回の発表で9人の賠償金額が決まったわけではなく、裁判で支払いが命じられたわけでもありません。

また、ニデックは2026年3月期に約6321億円の減損損失を計上し、別件では永守氏ら2人に約287億円の支払いを求める株主代表訴訟も起きています。これらの数字と今回の損害賠償責任は、区別して考える必要があります。

この記事では、責任を指摘された9人の一覧、永守氏の関与、会計不正の内容、損害賠償の金額や今後の見通しを整理します。

ニデック会計不正で永守重信氏ら9人に責任|調査結果と損害賠償の現状

ニデックが10月16日に公表したのは、外部の専門家で構成する「役員責任調査委員会」の調査結果です。

委員会は、一連の会計不正について、現旧の取締役や執行役員らの法的責任を調査し、9人について損害賠償責任が認められると考える結論を示しました。

まず、今回の発表で分かったことを整理します。

項目公表された内容
発表日2026年10月16日
調査機関役員責任調査委員会
責任を指摘された人数計9人
主な対象者永守重信氏、歴代社長、元取締役、元CFOなど
責任の根拠会社法423条1項、民法など
損害賠償請求額未公表
ニデックの対応損害賠償請求などの法的措置を検討
詳細報告書10月20日をめどに公表予定

ここで重要なのは、調査委員会が損害賠償責任を認める判断をしたことと、裁判で賠償責任や金額が確定したことは異なるという点です。

今回の段階では、9人それぞれがどの程度の損害を負担するのか、会社が具体的にいくら請求するのかは明らかになっていません。

ニデックは複数の取締役らの職務執行に法令違反があったと認め、今後必要な法的措置を検討するとしています。

出典:ニデック「役員責任調査委員会からの調査報告について」(2026年10月16日・PDF)。


責任を指摘された9人は誰?歴代社長・元CFOの一覧

10月16日の公式発表で損害賠償責任を指摘されたのは、次の9人です。

このうち8人については氏名が公表されていますが、残る元CFO1人については名前が明記されていません。

氏名主な役職・経歴責任の根拠
永守重信創業者・元会長会社法423条1項
小部博志元会長・社長経験者会社法423条1項
佐藤明元取締役専務執行役員会社法423条1項
吉本浩之元社長会社法423条1項
関潤元社長会社法423条1項
岸田光哉前社長会社法423条1項
村上和也元取締役・監査等委員会社法423条1項
落合裕之元取締役・監査等委員会社法423条1項
氏名非公表の1人元CFO
2022年5月〜2026年3月
民法など

永守重信氏をはじめ、小部博志氏、吉本浩之氏、関潤氏、岸田光哉氏という歴代の社長経験者が含まれていることが、今回の調査結果の大きな特徴です。

ただし、9人全員が会計データを直接書き換えたり、不正な処理を自ら指示したりしたと発表されたわけではありません。

役員としての監督や適切な職務執行に問題がなかったかなど、責任が問われる理由は個人によって異なる可能性があります。

その具体的な内容については、10月20日をめどに公表される詳細報告書で確認する必要があります。


なぜ8人と9人の報道がある?会社法と民法の違い

今回の報道では、名前が公表された8人と、責任を指摘された合計9人という2つの数字が登場します。

これは責任の根拠となる法律が異なるためです。

永守氏ら8人について、調査委員会は会社法423条1項に基づく損害賠償責任が認められると判断しました。

会社法423条1項は、取締役などが職務上の任務を怠り、会社に損害を与えた場合の賠償責任について定めた規定です。

一方、残る1人は2022年5月から2026年3月までCFO(最高財務責任者)を務めた旧執行役員です。この人物については、民法644条・415条1項、または会社の執行役員規程に基づく損害賠償責任が認められると判断されています。

つまり、会社法に基づく責任を指摘された8人と、別の法的根拠で責任を指摘された元CFO1人を合わせて計9人という内訳です。

元CFOの氏名は10月16日の公式発表に明記されていないため、在任期間などから特定の人物を推測して断定することはできません。


永守重信氏は不正を指示したのか?第三者委員会の判断

今回の会計不正問題で特に注目されているのが、ニデックの創業者である永守重信氏の責任です。

ニデックの会計不正を調査した第三者委員会は、永守氏による厳しい業績管理や、経営陣が目標達成を強く求める体制が、会計不正を生み出す背景になったと指摘しています。

一方、2026年3月に公表された調査では、永守氏が具体的な会計不正を直接指示・主導した事実は確認されなかったとされています。

ただし、直接の指示が確認されなかったことは、経営上の責任がないことを意味しません。調査では、不適切な会計処理を認識していた事例や、問題を適切に是正しなかった経営体制についても指摘されています。

ニデックでは、高い売上高や利益目標が設定され、目標を達成できない部門に強いプレッシャーがかかる状況があったとされています。

その結果、損失を適切な時期に計上せず先送りしたり、本来は費用として処理すべき支出を資産として計上したりする会計不正が、グループ内の複数の拠点で発生していました。

第三者委員会による会計不正の原因調査と、今回の役員責任調査委員会による法的責任の判断は別のものです。

今回の10月16日の発表では、これまでの調査結果を踏まえ、永守氏についても会社法に基づく損害賠償責任が認められるとする結論が示されました。

出典:ニデック・第三者委員会調査報告書(2026年3月3日公表・PDF)、ニデック公式・事案の概要。


ニデックの会計不正では何が行われていた?

今回の問題は、一つの子会社や部署だけで発生したものではありません。

ニデックが2025年9月に設置した第三者委員会の調査では、グループ内の多くの拠点で不正・不適切な会計処理が確認されています。

主な内容を分かりやすく整理すると、次のようになります。

会計処理の問題具体的な内容
棚卸資産の評価価値が下がった在庫の損失を計上せず、費用を先送りする
固定資産の減損資産の価値が下がっていても、必要な損失計上を回避する
費用の資産計上本来は費用にすべき人件費などを資産として処理する
収益の計上収益として認められない補助金などを不適切に計上する
債権の評価回収が難しい債権に備える貸倒引当金を少なく計上する

例えば、本来は当期の費用として計上しなければならない損失を翌期以降に先送りすれば、その期の利益が実際より大きく見えることがあります。

また、価値が下がった資産をそのまま高く評価すれば、会社の資産や経営状態が実態より良く見えてしまう可能性があります。

今回の調査で問題になったのは、こうした処理が複数の拠点で繰り返され、会社全体の決算の信頼性に影響していたことです。

第三者委員会は、厳しい業績目標だけでなく、内部監査や経営監督の仕組みが十分に機能していなかったことも問題の背景として指摘しています。

ニデックは調査結果を受け、会計方針の見直し、経理機能の独立性強化、内部監査体制の改善などを進めています。

出典:ニデック公式・判明した主な会計不正の内容、ニデック公式・改善と再発防止策。


損害賠償はいくら?6321億円の損失との違い

永守氏ら9人の責任が指摘されたことで、実際にいくらの損害賠償を求められるのかが注目されています。

しかし、2026年10月18日時点で、今回の9人に対する具体的な損害賠償請求額は公表されていません。

役員責任調査委員会は、損害の範囲について、それぞれの人物が問題にどの程度関与したかなどの寄与度に応じて判断すべきだとしています。

したがって、9人全員が同じ金額を賠償するという結論も出ていません。会社が実際に誰に対していくら請求するのか、今後の対応が注目されます。

一方、ニデックが9月30日に公表した2026年3月期決算では、大きな損失が明らかになっています。

項目金額意味
減損損失約6321億円資産の価値低下などに伴う会計上の損失
最終損益約5646億円の赤字2026年3月期の連結決算の結果
今回の9人への損害賠償未公表今後の請求や法的手続きで判断される問題

減損損失とは、工場設備などの固定資産や買収時に計上した「のれん」などについて、将来回収できる価値が帳簿上の金額より低下した場合に計上する損失です。

ニデックでは会計不正の問題に加え、一部事業の収益性悪化なども決算に影響しています。

このため、約6321億円の減損損失や約5646億円の最終赤字が、そのまま永守氏ら9人への損害賠償請求額になるわけではありません。

実際に請求する損害の範囲を決めるには、各役員の職務上の義務違反と、会社に発生した損害との関係などを個別に検討する必要があります。

出典:ニデック・2026年3月期決算資料(2026年9月30日公表・PDF)。


約287億円の株主代表訴訟とは別の問題

ニデックでは今回の9人の責任調査とは別に、永守重信氏と小部博志氏に対して、約287億円の支払いを求める株主代表訴訟も起きています。

ニデックは2026年9月10日、個人株主1人が永守氏と小部氏を相手に京都地方裁判所へ訴訟を提起し、9月9日に会社が訴訟告知書を受領したと発表しました。

この訴訟で問題になっているのは、2022年から2023年に実施された自己株式の取得や中間配当です。

原告の株主は、当時の自己株式取得や配当が会社法で定める分配可能額を超えていたとして、287億3055万8300円と遅延損害金を会社に支払うよう求めています。

今回の役員責任調査委員会の結論と混同しないよう、両者の違いを整理します。

項目9月公表の株主代表訴訟10月公表の役員責任調査
対象永守氏・小部氏永守氏ら計9人
主な問題自己株式取得・配当会計不正に関する役員の職務執行
法的根拠会社法462条1項会社法423条1項など
金額約287億円を請求未公表
状況株主が訴訟を提起会社が法的措置を検討

株主代表訴訟とは、会社に損害が生じたと考える株主が、一定の条件の下で会社に代わって役員などの責任を追及する手続きです。今回も原告が求めているのは、永守氏らから株主個人への支払いではなく、ニデックへの支払いです。

なお、約287億円は原告が請求している金額であり、裁判で支払いが確定した金額ではありません。

「9人が287億円を賠償することになった」という説明は正確ではないため、注意が必要です。

出典:ニデック「株主代表訴訟に関する訴訟告知書の受領について」(2026年9月10日・PDF)。


永守氏ら9人は今後どうなる?損害賠償請求と法的措置

ニデックは10月16日の発表で、第三者委員会や役員責任調査委員会などの調査結果を踏まえ、複数の取締役らの職務執行に法令違反があったと認めています。

そのうえで、損害賠償請求などの必要な法的措置を検討し、速やかに対応する方針を示しました。

今後、会社側が各人の責任や損害額を検討したうえで、賠償を求める可能性があります。ただし、実際に訴訟を提起するのか、請求額はいくらになるのか、当事者間で合意する可能性があるのかなど、具体的な進め方はまだ明らかになっていません。

また、今回の調査委員会による責任の指摘は、刑事事件として有罪が確定したことを意味するものではありません。現段階で9人に刑事罰が科されたかのように扱うことも適切ではありません。

今後はニデックが公表する法的措置の内容と、各人に対してどのような責任を求めるのかが焦点となります。


上場廃止になる可能性は?特別注意銘柄の現在の状況

ニデックの会計不正問題では、役員の損害賠償責任だけでなく、東京証券取引所での上場を維持できるかどうかも注目されています。

ニデックは2025年10月28日、内部管理体制に重大な改善が必要と判断され、東京証券取引所から「特別注意銘柄」に指定されました。

特別注意銘柄とは、上場企業の内部管理体制などに問題がある場合、改善を促すために指定されるものです。

指定された時点で上場廃止が決まるわけではありません。ただし、改善状況が不十分と判断された場合などには、上場廃止のリスクがあります。

ニデックは2026年4月に改善計画の改訂版を公表し、会計ルールや内部監査、経営監督体制の見直しを進めています。

10月末には内部管理体制の改善状況を示す確認書の提出が予定されており、その後の審査も重要になります。

今回の役員責任調査委員会の発表は、経営陣の責任追及という点で重要な動きですが、それだけで上場維持や上場廃止の判断が確定するわけではありません。

出典:ニデック公式・会計問題の経緯、ニデック公式・改善計画と今後の対応。


10月20日公表予定の詳細報告書で何が分かる?

ニデックは、役員責任調査委員会から10月16日に受領した報告書について、2026年10月20日(火)をめどに公表するとしています。

ただし、報告書にはグループ会社や取引先の営業秘密、個人情報などが含まれる可能性があるため、必要な部分を非開示にしたうえで公表する予定です。

今後の報告書で特に確認したいのは、

・永守氏ら各人の職務上の責任が具体的にどのように認定されたのか
・経営陣が不正会計を認識していたかどうか
・適切な監督や是正措置を行わなかったと判断された理由
・会社が受けた損害と各役員の行為との関係
・損害賠償請求の対象や金額に関する追加情報

といった点です。

ただし、これらすべてが詳細報告書で明らかになると決まっているわけではありません。

また、10月20日は報告書の公表予定日であり、その日に9人への賠償額や裁判の結果が確定するという意味ではありません。

ニデックが実際に損害賠償請求を行う場合は、その決定内容や対象者、金額などについて今後の公式発表を確認する必要があります。

出典:ニデック「役員責任調査委員会からの調査報告書の受領について」(2026年10月16日・PDF)、同社・調査報告の概要。


ニデックの会計不正と役員責任のまとめ

2026年10月16日、ニデックの役員責任調査委員会は、一連の会計不正について永守重信氏ら計9人に損害賠償責任が認められるとする結論を示しました。

内訳は、会社法に基づく責任を指摘された永守氏ら8人と、民法などに基づく責任を指摘された元CFO1人です。

ニデックは複数の取締役らの法令違反を認め、損害賠償請求などの法的措置を検討する方針を示しています。

一方、具体的な請求額や訴訟の有無はまだ決まっていません。2026年3月期の約6321億円の減損損失や、別件の約287億円の株主代表訴訟の金額を、今回の9人の賠償額と混同しないことが重要です。

今後は10月20日をめどに公表される詳細報告書と、会社が実際にどのような法的措置を取るのかが注目されます。

また、ニデックは東京証券取引所の特別注意銘柄に指定されており、経営体制や内部管理体制の改善も引き続き重要な課題となっています。


主な参考資料と確認日

情報確認日:2026年10月18日。ニデックの10月16日付公式発表、役員責任調査委員会の調査結果、第三者委員会の報告書および決算資料をもとに整理しています。9人への具体的な損害賠償請求額、訴訟の実施、各人の責任の詳細は現時点で未確定です。10月20日に公表予定の報告書や、その後の会社発表によって内容が更新される可能性があります。

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