訪日外国人の免税制度はなぜ変更?国内転売で利益を得る仕組みと2026年11月からの返金方式

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2026年11月1日から、日本を訪れる外国人旅行者などを対象とした消費税の免税制度が大きく変わります。

これまでは免税店で商品を購入する際に消費税が免除されていましたが、新制度ではいったん税込価格で購入し、日本を出国する際に商品の持ち出しが確認された場合に消費税相当額が返金される仕組みになります。

一見すると、旅行者にとって手続きが増えるだけのようにも思えます。ところが、今回の変更には、従来の免税制度を悪用した国内転売を防ぐという重要な理由があります。

実際に、免税店で大量の商品を購入し、海外へ持ち出さずに日本国内で転売する不正が問題となっていました。

財務省などが公表した資料では、2022年4月から2024年3月までの2年間に、1回の入国で1億円以上の免税品を購入したケースが690件(延べ人数ベース)あり、その多くを出国時に検査できていなかったことも明らかになっています。

さらに、不正が疑われる購入者を検査して消費税を課しても、その多くが納付されず、滞納したまま出国してしまうという問題もありました。

なぜ免税品を国内で転売すると利益が出るのか。これまでの制度では、なぜ税金を回収することが難しかったのか。そして新制度で不正は防げるのでしょうか。

この記事では、2026年11月から始まる「リファンド方式」の仕組みと、制度変更の背景にある国内転売の問題、実際の調査データ、空港での返金手続き、旅行者への影響まで整理します。

訪日外国人の免税制度が2026年11月から変更|国内転売を防ぐリファンド方式とは

今回の制度変更で最も大きく変わるのは、消費税を免除するタイミングです。

従来は、免税対象となる外国人旅行者などが免税店で商品を購入する際、一定の条件を満たせば、その場で消費税が免除されていました。

しかし、2026年11月1日からは、購入時に消費税を含む金額を支払い、その後、日本を出国する際に税関で商品の持ち出しが確認されて初めて免税が成立します。

この新しい仕組みを「リファンド方式」と呼びます。

比較項目2026年10月まで2026年11月から
制度購入時免税方式リファンド方式
購入時の支払い原則として消費税抜き消費税込み
消費税の免除購入時出国時の持ち出し確認後
出国時の手続き税関で購入品などを確認専用端末などで持ち出し確認
返金手続き購入時に免税済み税関確認後に免税店などから返金
購入品の国内転売免税分の税を後から徴収する必要が生じる国外への持ち出しが確認されなければ返金されない
新制度の開始2026年10月31日まで2026年11月1日購入分から

例えば、消費税率10%の商品を税抜価格10万円で購入する場合、従来の免税制度では条件を満たせば10万円で購入できました。

新制度では、購入時に11万円を支払い、出国時に必要な確認を受けた後、消費税相当額の1万円が返金されることになります。

つまり、正規の免税条件を満たす旅行者にとって、最終的に負担する商品代金の基本的な考え方は変わりません。

一方、商品を日本国内で転売したり、出国時に持ち出しを確認できなかったりした場合は、消費税相当額の返金を受けられなくなるという点が大きな違いです。

なお、実際の返金方法や手続きについては免税店などの案内に従う必要があります。

出典:財務省「令和7年度税制改正・外国人旅行者向け免税制度の見直し」


そもそも外国人旅行者はなぜ日本で消費税が免除されるのか?

今回の制度を理解するためには、そもそも訪日外国人が日本で免税購入できる理由を知る必要があります。

日本の消費税は、原則として国内で行われる商品の販売やサービスの提供に課される税金です。

一方、海外へ輸出される商品については、一定の条件を満たす場合、消費税が免除される仕組みがあります。

外国人旅行者などが日本で購入した商品を土産品として国外へ持ち帰る場合も、実質的には輸出に近い取引であることから、一定の条件で免税が認められています。

そのため、免税制度は外国人であれば無条件に消費税を払わなくてよいという制度ではありません。

例えば、短期滞在などの一定の資格で日本を訪れている外国人旅行者が対象となりますが、日本に居住している外国人が日常の買い物で自由に利用できるわけではありません。

また、一定の条件を満たす海外在住の日本人も、一時帰国時に免税購入の対象となる場合があります。

重要なのは、購入者の国籍だけではなく、対象となる人が、国外へ持ち帰るために免税店で商品を購入することです。

つまり、日本国内で使用したり、転売したりするために購入する商品は、本来の免税制度の趣旨に合いません。

出典:国税庁「外国人旅行者等の免税購入対象者」


なぜ免税品を国内で転売すると利益が出る?不正の仕組みを解説

今回の制度変更で問題視されているのが、免税品を海外へ持ち出さず、日本国内で転売する不正です。

仕組みは比較的単純です。

免税店で消費税を払わずに購入した商品を、消費税込みの通常価格に近い金額で国内の買い取り業者などへ売却すれば、その差額から利益を得られる可能性があります。

例えば、税抜価格10万円、税込価格11万円の商品を考えてみます。

取引金額
商品の税抜価格100,000円
通常の税込価格110,000円
免税購入時の支払い100,000円
国内の買い取り業者への売却額(仮定)106,000円
売却額と購入額の差6,000円

※上記の売却額は仕組みを説明するための仮定であり、実際の買い取り価格や不正事案の利益額を示すものではありません。手数料や交通費なども含んでいません。

通常の購入者が同じ商品を11万円で購入するところ、免税制度を利用した人は10万円で購入できるため、10万6,000円で売却できれば、差額の6,000円が生まれる計算です。

もちろん、実際に利益が出るかどうかは、商品の需要や買い取り価格、売却費用によって異なります。免税で購入すれば必ず利益が出るわけではありません。

それでも、高額な商品を大量に購入して繰り返し転売できれば、大きな金額になる可能性があります。

例えば、同じ条件で100個を購入・売却できたと仮定すると、差額は60万円になります。

国税庁も、近年の問題として、国内のブローカーなどの指示を受けて多量・多額の免税品を購入し、国内で転売して不正な利益を得る事例があると説明しています。

つまり、今回の問題は、外国人旅行者が旅行のついでに商品を買っているだけではなく、免税制度を利用した組織的な購入・転売が行われている場合があるということです。

ただし、外国人旅行者による高額な買い物がすべて不正という意味ではありません。適正に国外へ持ち出す目的で購入する人と、不正な転売目的で購入する人を区別する必要があります。

出典:国税庁「適正・公平な課税・徴収」


免税品を1億円以上購入した人が690件|財務省の調査で分かったこと

免税品の国内転売が問題となっていることについて、財務省などは具体的な調査データも公表しています。

2025年1月にまとめられた「外国人旅行者向け免税制度の見直し(案)について」では、2022年4月から2024年3月までの2年間に出国した免税購入者について、購入金額ごとの集計が掲載されています。

特に注目したいのは、1回の入国で1億円以上の免税品を購入したケースが690件(延べ人数ベース)あったという点です。

1回の入国当たりの免税購入額延べ購入出国者数免税購入金額
100万円未満19,307,798人1兆5,070億円
100万円以上1,000万円未満274,470人5,526億円
1,000万円以上1億円未満7,928人2,052億円
1億円以上690人2,332億円
合計19,590,886人2兆4,979億円

※対象期間は2022年4月から2024年3月まで。人数は国税庁の免税販売管理システムの購入記録情報に基づく延べ人数であり、個人の実人数や不正行為を行った人数を示すものではありません。

このデータを見ると、1億円以上購入したケースは全体の延べ人数の中ではごく少数です。

一方、購入金額は合計2,332億円に上っており、高額購入者による取引の規模が大きいことが分かります。

さらに問題となっているのが、この高額購入者を出国時に検査することの難しさです。

財務省などの資料では、1億円以上の高額購入者について、9割近くを税関で捕捉して検査することができなかったと説明されています。

また、検査できた購入者については、9割を超えるケースで適切に国外へ持ち出していることを確認できず、消費税が課されました。

しかし、課税した後も、ほぼすべてが滞納となっていたとされています。

ここで重要なのは、1億円以上購入した690件すべてで不正が確認されたわけではないという点です。

ただし、実際に税関が捕捉できた高額購入者について、商品の持ち出しを確認できないケースが非常に多かったことが、制度変更の背景にあります。

出典:財務省・国税庁・経済産業省・観光庁「外国人旅行者向け免税制度の見直し(案)について」2025年1月・5ページ


不正が見つかっても税金を回収できない?出国時の徴収が難しい理由

免税品を国外へ持ち出していなければ、従来の制度でも消費税を徴収する仕組みはありました。

それでは、なぜ新しい制度に変更する必要があったのでしょうか。

理由の一つは、不正が疑われる購入者を出国時に見つけることが難しく、見つけても税金を十分に回収できないという問題です。

従来は免税店で商品を購入した時点で消費税が免除されていたため、出国時に商品を持っていないことが判明すると、その段階で消費税を徴収する必要がありました。

しかし、財務省などの資料では、多額の免税品を購入した人が旅券の提示を避けるなどして、税関による確認を回避するケースがあると説明されています。

さらに、税関で検査できた場合でも、すでに商品を手元に持っておらず、納税に必要なお金を持ち合わせていないケースが問題となっていました。

例えば、免税で購入した商品を国内で売却して利益を得た後、出国時に商品を持っていないことが分かっても、その場で消費税を納められなければ滞納になります。

また、財務省の資料では、税関検査は任意であり、検査を受けないことだけを理由に出国を止めることができないという制度上の制約にも言及しています。

そのため、購入時にいったん免税して、問題が発覚したら後から税金を徴収する方法には限界があったといえます。

2026年10月22日のテレビ報道でも、国税庁の担当者が国内転売などの不正利用について説明しています。

報道では、過去の高額免税購入者を検査した結果、商品の持ち出しを確認できない事例が多く、税金の滞納額が約18億5,000万円に上ったケースが紹介されました。

ただし、この金額は報道で取り上げられた特定の集計に関するものであり、日本全国のすべての免税不正による税収損失を示すものではありません。

出典:テレビ朝日系・KAB「狙われる免税制度見直しへ 悪質転売 滞納額は18億円超?」2026年10月22日


リファンド方式で不正転売はどう防ぐ?先に消費税を預かる仕組み

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新しいリファンド方式では、免税品の国内転売を防ぐため、消費税を免除する順序を変更します。

従来は、商品を購入した時点で消費税を免除し、その後、国外に持ち出したかどうかを確認していました。

一方、2026年11月からは、購入時に税込価格を支払い、出国時に国外へ持ち出すことが確認されてから免税が成立します。

つまり、次のような違いがあります。

従来の制度
先に消費税を免除する → 商品が国内で転売される → 出国時に不正を確認して税金を徴収する必要がある

新しい制度
先に税込価格で販売する → 出国時に商品の持ち出しを確認する → 条件を満たした場合だけ消費税相当額を返金する

新制度では、国内で商品を転売した人は、出国時にその商品を持っていないため、原則として返金を受けられません。

その結果、免税で商品を購入したことによる消費税相当額の差額を、国内転売の利益として得るという従来の手口を利用しにくくなります。

また、商品の持ち出しを確認できなかった人から、後になって消費税を徴収する必要も減らせることが期待されます。

今回の制度変更は、後から不正を発見して税金を回収する方式から、商品の持ち出しを確認できた人にだけ税を返す方式へ切り替えるものと考えると分かりやすいでしょう。

もちろん、制度を変更しただけですべての不正行為をなくせると証明されたわけではありません。実際にどの程度の不正防止効果があるかは、制度開始後の運用状況を確認する必要があります。


空港では何をする?商品をすべて係員に見せる必要があるのか

新制度では、商品を購入した後、日本を出国する際に空港や港の税関で持ち出し確認を受ける必要があります。

ただし、免税購入したすべての商品を、旅行者全員が毎回係員へ提示するという仕組みではありません。

税関が公表している案内によると、基本的な流れは次のようになります。

  • ① 免税店で税込価格の商品を購入する:旅券などを提示して免税販売手続きを行い、購入記録を登録する
  • ② 返金方法を登録する:免税店や返金サービスの案内に従い、クレジットカードなどの返金先情報を登録する
  • ③ 出国時に専用端末などで手続きする:空港や港に設置された免税手続き用の端末に旅券を読み込ませるなどして確認する
  • ④ 税関検査の要否が判定される:検査不要の場合は手続き完了。検査が必要な場合は、指定された場所で商品を提示する
  • ⑤ 税関の持ち出し確認後に返金される:確認結果を受け取った免税店などの事業者が消費税相当額を返金する

つまり、空港の税関がすべての人に現金を直接払い戻すわけではありません。

税関は商品を国外へ持ち出すことを確認する役割を担い、返金は免税店や返金手続きを委託された事業者などが行います。

また、免税品がスーツケースなどの預け入れ荷物に入っている場合もあるため、原則として航空会社のチェックインカウンターで荷物を預ける前に、税関での確認手続きを済ませる必要があります。

免税対象の商品は、税関から求められた際に提示できる状態にしておくことが重要です。

なお、成田・羽田・関西・中部・新千歳・福岡・那覇の各空港では、所定のエリア内で専用Wi-Fiに接続し、Visit Japan Webを利用して確認手続きを行う方法も案内されています。

出典:税関「Tax Exemption(Refund)Program for Foreign Visitors」


返金を受けられないケースは?90日以内・商品の持ち出しが条件

2026年11月からの免税制度では、商品を税込価格で購入すれば、誰でも後から消費税相当額が返金されるわけではありません。

主な条件の一つが、購入日から90日以内に出国し、免税対象の商品を国外へ持ち出すことについて税関の確認を受けることです。

また、対象商品の購入額は、原則として同じ店舗で1日に税抜5,000円以上である必要があります。

返金を受けられない可能性があるケースには、次のようなものがあります。

・購入した商品を日本国内で転売した場合
・購入した商品を出国前に国内で消費した場合
・購入から90日以内に必要な税関確認を受けなかった場合
・税関から求められた商品を提示できなかった場合
・免税購入の対象者や金額などの条件を満たしていない場合

さらに注意したいのは、税関による確認が購入記録ごとに行われるという点です。

例えば、1回の買い物で複数の商品をまとめて免税購入した場合、その購入記録に含まれる商品のうち1つでも持ち出しを確認できないものがあると、原則として、その購入記録に含まれるすべての商品について免税が成立しません。

そのため、複数の商品を購入する場合は、税関で確認を求められた際に、すべての商品を提示できるようにしておく必要があります。

なお、免税品は国外へ持ち出すことが前提であり、金や白金の地金など、制度上の免税対象外となる商品もあります。

出典:観光庁「消費税免税店サイト・リファンド方式」


化粧品や食品の免税も変わる?50万円の上限と特殊包装を廃止

今回の制度変更では、商品の購入時に消費税を支払うようになるだけでなく、免税販売に関する一部の条件も見直されます。

特に大きく変わるのが、化粧品や食品、医薬品などの消耗品に関する扱いです。

従来の制度では、こうした消耗品について、同じ店舗で1日に購入する免税対象額に税抜50万円以下という上限がありました。

また、日本国内で開封・使用しないよう、一定の特殊な包装が必要とされていました。

しかし、2026年11月からのリファンド方式では、消耗品の50万円の上限と特殊包装の要件が廃止されます。

これは、出国時に商品を国外へ持ち出すことを確認する仕組みに変わるため、購入時に一般物品と消耗品を区別する必要性が小さくなるからです。

ただし、特殊包装の要件がなくなるからといって、免税購入した食品や化粧品を日本国内で自由に消費してよいという意味ではありません。

国内で食べたり、使用したりした商品は国外へ持ち出せないため、原則として、その商品について税関の持ち出し確認を受けられず、免税の対象になりません。

また、購入数量についても、出国時に購入者自身が国外へ持ち出せる範囲であることが必要です。

新制度によって購入時の包装や金額に関する一部の制約は緩和されますが、国外へ持ち帰ることが免税の条件である点は変わりません。


旅行者には不便になる?空港の混雑と免税店への影響

新しいリファンド方式は、不正な国内転売を防ぐ仕組みとして導入されますが、旅行者にとっては新たな負担が発生する可能性もあります。

従来は免税店で商品を購入する際に消費税が免除されていましたが、新制度では、いったん税込価格を支払わなければなりません。

そのため、旅行中に使えるお金を一時的に多く用意する必要があります。

また、出国時には税関での確認手続きが必要になるため、免税購入した商品が多い場合や、検査の対象になった場合には、空港での手続きに時間がかかる可能性があります。

2026年10月22日のテレビ報道でも、旅行者からは従来の方が簡単だったという趣旨の声が紹介されています。

一方、今回の見直しには、免税店側の負担を軽減する狙いもあります。

従来は店舗側が購入者の不正利用を疑い、販売方法を判断しなければならない場面がありました。財務省などの資料では、疑わしい大量購入を断るために自主基準を設けたり、免税販売そのものを停止したりする店舗もあったと説明されています。

リファンド方式では、商品の持ち出し確認を税関で行うため、こうした店舗側の負担を減らせることが期待されています。

また、消耗品の特殊包装や50万円の上限が廃止されることも、店舗の事務負担軽減につながります。

ただし、新制度では購入記録の送信や返金手続きへの対応も必要となるため、すべての店舗で業務負担が一方的に減るとは限りません。

不正防止の効果だけでなく、空港での混雑、旅行者の手間、免税店の対応状況なども、制度開始後に注目される点です。


免税制度を廃止しないのはなぜ?正規の旅行者への免税は継続

国内転売などの不正が問題になっているのであれば、免税制度そのものを廃止すればよいのではないかと考える人もいるかもしれません。

しかし、今回の見直しは、外国人旅行者向けの免税制度を廃止するものではありません。

免税制度には、国外へ持ち帰る商品について消費税を免除するという考え方があり、訪日外国人による日本国内での買い物を促す役割もあります。

財務省は、従来の免税制度がインバウンド消費の拡大に寄与してきた一方、国内転売などの不正利用が問題になっていると説明しています。

そのため、制度自体をなくすのではなく、正しく商品を海外へ持ち帰る人には免税を認め、不正な国内転売などを防ぐ仕組みに変更するという方針が取られました。

実際に、新制度でも、免税店で対象商品を購入し、購入日から90日以内に日本を出国する際、税関で持ち出しが確認されれば消費税相当額の返金を受けられます。

つまり、免税の対象者を一律に排除するのではなく、免税が成立する条件とタイミングを見直すものです。

なお、今回の不正利用は、外国人旅行者全体に当てはまるものではありません。制度上の条件を守って免税購入している人も多く、不正行為と通常の買い物は区別する必要があります。


訪日外国人の免税制度が変わる理由と新しい仕組みのまとめ

2026年11月1日から、訪日外国人旅行者などを対象とした消費税の免税制度が、購入時に免税する方式から、出国時の持ち出し確認後に消費税相当額を返金する「リファンド方式」に変更されます。

今回の制度変更の大きな理由は、免税で購入した商品を日本国内で転売し、消費税相当額の差額を利用して利益を得る不正が問題となっていたためです。

従来の制度では、先に消費税を免除するため、商品が国内で転売された場合、後から税金を徴収する必要がありました。

しかし、出国時に不正が疑われる購入者を検査することは難しく、検査できた場合も税金が納められないまま出国してしまうケースが問題となっていました。

財務省などの資料では、2022年4月から2024年3月までの2年間に、1回の入国で1億円以上の免税品を購入したケースが690件(延べ人数ベース)あり、合計の購入金額は2,332億円に上っています。ただし、この690件すべてが不正と確認されたわけではありません。

新しいリファンド方式では、免税店でいったん税込価格を支払い、出国時に商品の持ち出しが確認された場合にだけ返金されるため、従来の国内転売による不正な利益を得にくくする効果が期待されています。

一方、旅行者には購入時の一時的な負担増加や、出国時の手続きが必要になるという変化もあります。

また、食品や化粧品などの消耗品については、従来の50万円の上限や特殊包装の要件が廃止されるなど、免税販売の手続きが一部簡素化されます。

今回の制度変更は、免税そのものをなくすのではなく、正しく国外へ商品を持ち出す人だけが免税を受けられるよう、税を免除するタイミングを変えるものです。

今後は、制度変更によって実際に国内転売の不正がどの程度減るのか、空港での確認手続きが円滑に行われるのか、旅行者の買い物にどのような影響が出るのかが注目されます。

なお、ほかの企業やサービスに関する不正アクセス・情報漏えいの事例については、関連記事「2026年9月末~10月の情報漏えいまとめ」でも整理しています。


主な参考資料と確認日

情報確認日:2026年10月22日。財務省の令和7年度税制改正資料、財務省・国税庁・経済産業省・観光庁の「外国人旅行者向け免税制度の見直し(案)について」、国税庁の制度解説、税関・観光庁のリファンド方式に関する案内、同日のテレビ報道を確認しました。リファンド方式は2026年11月1日の購入分から適用され、購入日から90日以内の出国時に税関で商品の持ち出しが確認された場合に免税が成立します。高額免税購入者に関する統計は2022年4月から2024年3月までの過去の集計であり、購入者全員の不正を示すものではありません。国内転売による利益の計算例は制度の仕組みを説明するための仮定です。制度開始後の実際の運用状況や手続きについては、各機関の公式案内を確認してください。

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