「警察です。あなたの銀行口座が犯罪に使われています」
突然このような電話がかかってきた場合、本物の警察官なのか、詐欺なのか判断できず、不安になる人もいるのではないでしょうか。
近年、警察官を装って逮捕や捜査をほのめかし、LINEのビデオ通話で偽の警察手帳や逮捕状を見せる「ニセ警察詐欺」が問題になっています。
実在する警察署の電話番号や、末尾が「0110」の番号を着信画面に表示させる手口も確認されており、番号が正しいだけでは本物と判断できません。
警察を名乗る不審な電話が来た場合は、いったん通話を切り、自分で調べた警察署の公式番号にかけ直して確認してください。
本物の警察官が一般の人に電話をかけることはありますが、捜査を理由にLINEへ誘導したり、逮捕状の画像を送ったり、口座調査の名目でお金を振り込ませたりすることはありません。
また、すでに氏名や住所、運転免許証の画像、銀行口座情報を相手に伝えてしまった場合は、渡した情報によって取るべき対応が異なります。
2026年1~8月のニセ警察詐欺の認知件数は6,346件、被害額は728.6億円に達しました。前年同期と比べて件数は減少している一方、被害額は増加しています。
この記事では、ニセ警察詐欺と本物の警察の見分け方、LINEの逮捕状や0110の電話番号の真偽、典型的な手口、個人情報を教えた場合や送金してしまった場合の対処法などを整理します。
- ニセ警察詐欺の見分け方|本物の警察との違いと対処法
- 警察から電話が来たら本物?安全に確認する手順
- 本物の警察から電話が来るのはどんなとき?
- 末尾0110や実在する警察署の電話番号でも詐欺なのか?
- LINEで逮捕状や警察手帳を見せられたら本物?
- 相手が自分の本名や住所を知っていたら信用できる?
- 「逮捕状」「資金洗浄」「口座調査」と言われたら?典型的な手口
- 個人情報や運転免許証の画像を送ってしまった場合は?
- 銀行口座の暗証番号・パスワード・認証コードを教えた場合は?
- ニセ警察詐欺でお金を振り込んでしまった場合は?返金されるのか
- LINEの画面共有や遠隔操作アプリを使ってしまった場合は?
- ビデオ通話で服を脱ぐよう要求された場合は?
- ニセ警察詐欺を防ぐには?家族でできる対策
- 2026年のニセ警察詐欺の被害件数・被害額は?
- ニセ警察詐欺の見分け方と相談先まとめ
ニセ警察詐欺の見分け方|本物の警察との違いと対処法
ニセ警察詐欺とは、警察官などを名乗って相手を信用させ、捜査や逮捕を理由に現金、暗号資産、個人情報などをだまし取ろうとする手口です。
警察庁は、実在する警察署の番号を偽装する電話や、SNSのビデオ通話で偽の警察手帳・逮捕状を見せる行為について注意喚起しています。
大切なのは、相手の制服や顔、電話番号、書類の見た目だけで本物かどうかを判断しようとしないことです。
電話を受けた段階と、すでに個人情報やお金を渡してしまった段階では、必要な行動も変わります。
まずは現在の状況に応じて、以下の対応を確認してください。
| 現在の状況 | 最初に取る対応 |
|---|---|
| 警察を名乗る電話が来た | 通話を終了し、自分で調べた警察署の番号に確認する |
| LINEで逮捕状を見せられた | やり取りを中止し、警察に相談する |
| 氏名・住所を伝えた | 伝えた内容を整理し、警察に相談する |
| 免許証の画像を送った | 警察・発行元に相談し、名義悪用防止の手段を確認する |
| 銀行の暗証番号・認証コードを教えた | 利用銀行に直ちに連絡し、口座保護を依頼する |
| お金を振り込んだ | 銀行と警察へ直ちに連絡する |
| LINEで画面共有をした | 共有を停止し、銀行情報を見られた可能性があれば銀行へ連絡する |
| 遠隔操作アプリを入れた | 接続を切り、安全な端末から銀行や警察に相談する |
| 裸の撮影などを要求された | 応じずに通話を終了し、警察へ相談する |
※上記は警察庁、国民生活センター、金融庁、金融機関などの案内に基づいて整理した初動対応です。実際の被害状況によって追加の手続きが必要になる場合があります。
身の危険が迫っている場合は110番、不審な電話や被害についての相談は警察相談専用電話「#9110」を利用してください。
また、警察を名乗る相手の電話番号を検索した際に実在する警察署が表示されても、それだけで通話相手が本物だと証明されたわけではありません。
以下では、よくある疑問と対応方法を詳しく説明します。
出典:警察庁「ニセ警察詐欺に注意!」、国民生活センター「警察を名乗る電話に注意!」
警察から電話が来たら本物?安全に確認する手順
突然「警察です」と電話がかかってきても、その場で相手の説明をすべて聞き続ける必要はありません。
本物の警察からの連絡である可能性もありますが、まずは本当に警察からの電話なのかを確認することが重要です。
警察庁の担当者は、2026年2月のLINEヤフーのインタビューで、警察を名乗る電話を受けた場合は所属と担当者名を確認し、いったん電話を切って折り返してよいと説明しています。
具体的には、次の順番で確認できます。
- 相手が名乗る警察署・部署・担当者名を聞き、可能なら内線番号も控える
- 「確認してから折り返します」と伝え、通話を終了する
- 警察庁や都道府県警察の公式サイトから、該当する警察署の電話番号を調べる
- 自分で調べた番号に電話し、名乗った担当者が実在するか、連絡があったかを確認する
このとき注意したいのが、相手に教えられた番号や、着信履歴に残っている番号にそのまま折り返さないことです。
相手が詐欺グループだった場合、再び同じ人物につながる可能性があります。
また、警察庁担当者は、本物の警察からの連絡だったとしても、いったん電話を切ったことだけで不利になることはないと説明しています。
例えば「あなたは逮捕される」「今切ったら捜査に協力していないことになる」と脅されても、相手の指示に従って通話を続ける必要はありません。
名乗った警察署が遠方にある場合や、番号が分からない場合は、最寄りの警察署や警察相談専用電話「#9110」でも相談できます。
出典:LINEヤフー「その電話、本当に警察? 警察庁担当者に聞くニセ警察詐欺の手口と対策」(2026年2月2日)
本物の警察から電話が来るのはどんなとき?
警察官を名乗る電話がすべて詐欺というわけではありません。
本物の警察官が、一般の人の携帯電話や固定電話に連絡することは実際にあります。
警察庁担当者は、連絡する場合の例として、落とし物に関する連絡や、家族が事件・事故に巻き込まれた際の連絡などを挙げています。
そのため、知らない番号から警察を名乗る電話がかかってきたという事実だけで、詐欺だと断定することはできません。
ただし、本物の警察官からの電話と、ニセ警察詐欺では、連絡の目的や要求内容に違いがあります。
| 電話で言われた内容 | 判断のポイント |
|---|---|
| 落とし物が見つかった | 本物の警察からの連絡としてあり得る |
| 家族の事件・事故に関する連絡 | 本物の警察からの連絡としてあり得る |
| あなたに逮捕状が出ている | ニセ警察詐欺を強く疑う |
| LINEで取り調べをする | ニセ警察詐欺の典型的な手口 |
| 口座を調査するため送金してほしい | 送金せず、直ちに確認する |
| 誰にも相談してはいけない | 相手を孤立させるための手口として警戒する |
例えば、本物の警察から落とし物の連絡があった場合でも、一度電話を切って正規の窓口に確認してから対応することはできます。
また、警察署への出頭や事情聴取などに関する連絡を受けた場合は、正規の警察窓口で確認したうえで適切に対応することが重要です。
不審な電話を無条件に信用しないことと、本物の警察からの正当な連絡を無視することは別です。
電話の内容に少しでも不自然な点があれば、通話を終えてから公式の連絡先に確認してください。
末尾0110や実在する警察署の電話番号でも詐欺なのか?
警察署の代表電話番号には、末尾が「0110」になっているものが多くあります。
そのため、着信画面に表示された番号を検索し、実在する警察署が表示されると、本物の警察からの電話だと信じてしまう人もいるかもしれません。
しかし、実在する警察署の電話番号が表示されていても、発信者が本物の警察官とは限りません。
警視庁は、警視庁の代表電話番号や、末尾が0110の警察署代表番号を偽装表示させる手口について注意喚起しています。
このような手口は「発信者番号偽装」と呼ばれます。
着信画面には正しい警察署の番号が表示されていても、実際には別の場所にいる詐欺グループが電話をかけている場合があります。
また、国際電話番号や見慣れない番号から警察官を名乗る電話がかかってくる手口も確認されています。
ただし、番号の形式だけで真偽を完全に判断できるわけではありません。
「0110だから安全」「実在する警察署の番号だから本物」と判断せず、通話を終了し、自分で公式番号を調べて確認することが必要です。
電話番号検索サイトに口コミが掲載されている場合もありますが、利用者の投稿だけで、その番号からのすべての電話が本物か偽物か確定するわけではありません。
番号の一致ではなく、相手との通話とは独立した方法で警察署に確認することが重要です。
出典:警視庁「警察官等をかたる詐欺」(2026年4月15日更新)、国民生活センター「警察を名乗る電話に注意!」
LINEで逮捕状や警察手帳を見せられたら本物?
ニセ警察詐欺では、電話で警察官を名乗った後、LINEなどのSNSに移動してやり取りを続ける手口があります。
例えば「電話では説明できない」「出頭しなくてもビデオ通話で取り調べができる」などと説明し、LINEの友だち追加やビデオ通話を求めるケースです。
ビデオ通話では、警察官の制服に似た服装をした人物が登場したり、警察手帳や逮捕状に見える画像を見せたりすることがあります。
しかし、国民生活センターは、警察がLINEのトークやビデオ通話で取り調べを行うために連絡を取ることはないと注意喚起しています。
また、警察庁も、偽の警察手帳や逮捕状を使って信用させる手口を公表しています。
つまり、相手の顔が見えることや、本人の名前が入った逮捕状の画像が表示されることは、本物の証拠にはなりません。
画像の印影や書式、警察官の服装などを見比べても、偽装された資料かどうかを一般の人が確実に判定することは困難です。
警察庁や都道府県警察が公開している偽逮捕状の事例画像と一致していなくても、安全だという意味ではありません。
また、警察庁には防犯情報などを発信するLINE公式アカウントが存在しますが、これは個別の事件の取り調べや逮捕状の提示をLINEで行うという意味ではありません。
警察官を名乗る相手からLINEで逮捕状を見せられたり、捜査名目で送金を求められたりした場合は、やり取りを中止して正規の警察窓口に確認してください。
出典:警察庁「ニセ警察詐欺に注意!」、国民生活センターの相談事例
相手が自分の本名や住所を知っていたら信用できる?
ニセ警察詐欺では、相手が電話をかけてきた時点で、自分の名前や住所などを知っている場合があります。
そのため、「こちらから何も教えていないのに名前を知っているのだから、本物の警察官ではないか」と考えてしまうことがあります。
しかし、個人情報を知っていることは、警察官である証拠にはなりません。
国民生活センターにも、警察官を名乗る相手が氏名や住所などを知っていたという相談が寄せられています。
また、電話番号や住所などの情報は、さまざまな経路で第三者に知られる可能性があります。
ただし、特定の詐欺電話について、情報がどこから流出したのかは個別に調査しなければ分かりません。
そのため、相手が自分の名前を知っていたという事実だけで、特定の企業やサービスから個人情報が漏えいしたと決めつけることもできません。
「家族の名前を知っている」「以前使っていた電話番号を知っている」といった場合でも同様です。
相手の説明を確認するために、生年月日、住所、勤務先、家族構成などを追加で伝えることは避けてください。
すでに自分の情報を伝えてしまった場合の対応は、後半で詳しく整理しています。
「逮捕状」「資金洗浄」「口座調査」と言われたら?典型的な手口
ニセ警察詐欺は、最初から警察官を名乗るとは限りません。
警察庁によると、通信事業者や総務省などを装い、「携帯電話の料金が未納」「あなた名義の携帯電話が不正に契約された」などと説明した後、警察官を名乗る人物が登場する手口もあります。
その後、架空の事件に関与していると思わせ、LINEやビデオ通話への移動、資産状況の確認、送金などを求めるケースがあります。
典型的な流れを整理すると、次のようになります。
- 通信会社や警察官を名乗る人物から突然電話がかかってくる
- 「あなた名義の口座が犯罪に使われている」などと説明される
- 「逮捕状が出ている」「捜査に協力すれば逮捕を避けられる」などと不安をあおられる
- LINEのビデオ通話や偽の警察サイトで警察手帳・逮捕状を見せられる
- 「口座の調査」「資金の保護」などを理由に送金や資産の提出を求められる
※これは警察庁の公表事例を基に整理した代表的な流れで、すべての事件が同じ順番で進むわけではありません。
犯人側は「捜査情報だから誰にも話してはいけない」「今すぐ対応しないと逮捕される」などと告げ、家族や周囲の人に相談させないようにする場合があります。
また、実在する警察署や警察庁のサイトに似せた偽サイトを見せ、そこに自分の名前入りの逮捕状が表示されるようにする手口も確認されています。
サイトのデザインが本物らしく見えても、相手が案内したリンク先だけで判断しないようにしてください。
最近では、銀行振込に加え、暗号資産を送らせたり、金塊やインゴットを購入させて提出させたりする手口も公表されています。
警察の捜査を理由に、個人の資産を指定された口座へ移したり、暗号資産や金塊を渡したりするよう求められた場合は、指示に従わないでください。
出典:警察庁「ニセ警察詐欺に注意!」、警察庁「ニセ警察詐欺の特異な手口」(2026年6月5日)
個人情報や運転免許証の画像を送ってしまった場合は?
ニセ警察官との電話やLINEで、氏名、住所、電話番号、勤務先、運転免許証の写真などを伝えてしまった場合、どのように対応すればよいのでしょうか。
まず、相手との連絡を中止し、どの情報を、いつ、どのような方法で伝えたのかを整理してください。
例えば、氏名と住所だけを伝えた場合と、運転免許証の表裏を撮影して送った場合では、今後考えるべきリスクが異なります。
氏名・住所・電話番号などを伝えた場合は、相手からの追加連絡を信用せず、警察相談専用電話「#9110」などへ相談してください。
ただし、住所を伝えたことで必ず自宅に犯人が来る、本人確認情報が必ず悪用されるといったことが決まるわけではありません。
具体的な危険性は、相手に渡した情報やその後のやり取りによって異なります。
一方、運転免許証やマイナンバーカードなどの画像を送った場合は、本人になりすました契約などに悪用される可能性も考慮する必要があります。
この場合は警察に相談するとともに、該当する本人確認書類の発行・交付元にも対応を確認してください。
また、信用情報機関の日本信用情報機構(JICC)では、運転免許証などの現物が手元にあっても、画像などの情報が流出した場合に「本人申告コメント」を登録できると案内しています。
具体的には「名義の悪用防止」という区分での登録が可能です。
ただし、この制度は信用情報を利用する加盟事業者に注意を促す仕組みであり、登録することですべての不正契約や名義悪用を防止できるわけではありません。
また、身分証明書の画像が流出したからといって、すべての場合に再交付が必要になるわけでもありません。書類の種類や状況に応じて発行元に確認してください。
もし自宅への訪問を予告されたり、身の危険が迫っていたりする場合は、ためらわず110番へ通報してください。
出典:JICC「運転免許証等の画像が流出した場合の本人申告コメント」、国民生活センター「警察を名乗る電話に注意!」
銀行口座の暗証番号・パスワード・認証コードを教えた場合は?
ニセ警察詐欺では、口座調査や資産確認などを理由に、銀行口座の情報を聞き出そうとすることがあります。
ここで重要なのは、口座番号だけを伝えた場合と、暗証番号やインターネットバンキングの認証情報まで伝えた場合では、対応の緊急性が異なるという点です。
銀行名・支店名・口座番号だけを伝えた場合、それだけで直ちに預金を引き出せるとは限りません。
ただし、本人情報やほかの情報と組み合わせて悪用される可能性があるため、銀行と警察に相談し、必要な対策を確認してください。
一方、次のような情報を相手に教えてしまった場合は、より急いで対応する必要があります。
- キャッシュカードの暗証番号
- インターネットバンキングのログインID・パスワード
- ワンタイムパスワードやSMSの認証コード
- 銀行アプリでの操作や認証を相手の指示どおりに行った場合
こうした情報を渡してしまった場合は、利用している銀行の公式サイトやキャッシュカードなどに記載された正規の窓口へ連絡してください。
銀行に、認証情報を第三者に伝えてしまったことを説明し、口座の利用停止や認証情報の変更、不審な取引の確認など、必要な対応を相談します。
詐欺グループから届いたメールやLINEに書かれた銀行窓口の番号ではなく、必ず自分で確認した正規の連絡先を利用してください。
また、すでに不審な送金や引き出しが行われている可能性がある場合は、その事実も銀行へ伝える必要があります。
なお、認証情報を伝えた場合にどのような措置が取れるかは、利用している銀行やサービスによって異なります。
銀行のパスワードなどを教えてしまった場合は、詐欺かどうかの確認だけに時間をかけず、まず口座の保護を優先してください。
ニセ警察詐欺でお金を振り込んでしまった場合は?返金されるのか
警察官を名乗る相手から「資産を調査する」「安全な口座に移す」などと説明され、すでにお金を振り込んでしまった場合は、できるだけ早く銀行と警察に連絡する必要があります。
金融庁は、振り込め詐欺などの被害に遭った場合、警察と振込先の金融機関に連絡するよう案内しています。
まず、振り込みに利用した銀行と振込先の銀行に被害を伝え、送金先口座への対応が可能か確認してください。
銀行によっては、詐欺被害の緊急連絡窓口を設けている場合があります。
あわせて、最寄りの警察署へ被害を相談してください。
相談の際に確認できるよう、次の情報を残しておくと役立ちます。
- 振り込んだ日時・金額
- 利用した銀行名と振込先の銀行・支店・口座番号
- 振込明細や取引履歴
- 相手が名乗った警察署・担当者名・電話番号
- LINEのトーク履歴や送られてきた画像
では、振り込んだお金は返ってくるのでしょうか。
預金口座への振り込みを利用した詐欺の被害では、「振り込め詐欺救済法」に基づき、被害回復分配金が支払われる可能性があります。
これは、犯罪に利用された預金口座などに残っている資金を原資として、所定の手続きにより被害者へ分配する制度です。
しかし、犯人がすでに現金を引き出していた場合や、口座に十分な残高がない場合には、支払いを受けられないことがあります。
複数の被害者がいる場合には、残高が被害額に応じて分配されるため、被害額の全額が戻るとは限りません。
また、制度には申請期間などの条件があり、銀行へ連絡した直後に返金される仕組みでもありません。
「振り込め詐欺救済法があるから必ず返金される」というわけではありません。
なお、暗号資産そのものを送信した場合や、金塊を渡した場合などは、預金口座への振り込みとは異なり、同制度の対象となるとは限りません。
いずれの場合も、相手への追加送金や、自称「返金代行業者」などからの不審な要求には応じず、銀行や警察などの正規窓口に相談してください。
出典:金融庁「振り込め詐欺等の被害にあわれた方へ」
LINEの画面共有や遠隔操作アプリを使ってしまった場合は?
ニセ警察詐欺では、相手の指示に従ってスマートフォンの画面を共有したり、遠隔操作アプリをインストールしたりすることで、銀行の情報を見られたり、不正な送金につながったりする場合があります。
特に注意したいのは、別の遠隔操作アプリをインストールしていなくても、LINEなどに備わっている画面共有機能が悪用されることがあるという点です。
2026年10月1日、イオン銀行は、LINEの画面共有機能を悪用し、インターネットバンキングの操作を誘導する詐欺について注意喚起しました。
犯人が警察官や金融機関の担当者などを装い、画面共有を求めたうえで、入力された口座情報や認証情報を確認しながら操作を誘導するケースがあるとしています。
ただし、画面共有と遠隔操作アプリは同じ仕組みではありません。
| 操作 | 考えられる危険性 |
|---|---|
| LINEなどの画面共有 | 画面に表示された個人情報・銀行情報・操作内容を相手に見られる可能性 |
| 遠隔操作アプリの利用 | アプリの機能や許可内容によっては、第三者に端末を操作される可能性 |
画面共有をしてしまった場合は、まず共有や通話を終了してください。
共有中に銀行アプリを開いた、認証コードが表示された、送金操作をしたなどの事情があれば、利用銀行の正規窓口に連絡し、必要な口座保護や取引確認を依頼してください。
一方、遠隔操作アプリをインストールした場合は、相手との接続を終了する必要があります。接続を止められない場合には、端末をインターネットから切り離すことも検討してください。
そのうえで、可能なら別の安全な端末から銀行や警察に連絡し、インストールしたアプリや許可した権限について説明してください。
遠隔操作アプリを削除しただけで、すでに取得されたパスワードや送金被害が解消されるわけではありません。
どの情報が見られた可能性があるか、端末が操作された可能性があるかを整理し、必要に応じて認証情報の変更なども行ってください。
また、相手とのやり取りや不審なアプリの名称、接続した日時などは、警察へ説明できるように記録しておくと役立ちます。
出典:イオン銀行「LINE『パーティー機能』などを悪用した画面共有詐欺にご注意ください」(2026年10月1日)、IPA「遠隔操作ソフト(アプリ)を悪用される手口に気をつけて!」
ビデオ通話で服を脱ぐよう要求された場合は?
ニセ警察詐欺では、お金をだまし取るだけでなく、警察官を装って性的な行為を要求する事案も確認されています。
警察庁は2026年6月5日、捜査で身体の特徴を確認するなどと説明して服を脱ぐよう要求したり、入浴中やトイレにいる間もビデオ通話を続けるよう求めたりする手口について注意喚起しました。
警察庁によると、2025年中に発生した事案について、2026年4月末までに報告されたものは247件でした。この数字には未遂や相談事案も含まれます。
そのため、247件をそのまま2026年の被害者数とすることはできません。
警察官を名乗る相手から「潔白を証明するために身体を見せてほしい」などと要求された場合は、応じずに通話を終了してください。
また、すでに撮影や画像の送信をしてしまった場合も、追加の画像や動画を送らず、警察に相談することが重要です。
「画像を公開する」「家族に送る」などと脅された場合は、相手の要求に従って送金したり、追加の撮影に応じたりしないでください。
相手からの脅迫メッセージや連絡先など、相談に必要な情報を保存し、警察へ状況を説明してください。
ただし、画像や動画を保存する際は、第三者への転送やSNSへの再投稿などによって被害を広げないよう注意が必要です。
金銭被害が発生していなくても、警察を装った性的な要求や脅迫について相談できます。
出典:警察庁「ニセ警察詐欺の特異な手口」(2026年6月5日)
ニセ警察詐欺を防ぐには?家族でできる対策
ニセ警察詐欺の被害を防ぐには、電話を受けたときの対応だけでなく、普段から家族で確認方法を決めておくことも有効です。
特に、警察官を名乗る相手が「秘密にしなければ逮捕される」「家族にも話してはいけない」と説明する場合は注意が必要です。
相手は、本人が周囲へ相談する機会を減らすことで、指示に従わせようとする場合があります。
家族でできる対策としては、以下が考えられます。
・警察を名乗る電話が来たら、いったん切って正規の窓口で確認する
・電話で「逮捕」「口座調査」「資金保護」などと言われても送金しない
・LINEのビデオ通話で警察手帳や逮捕状を見せられても信用しない
・暗証番号やワンタイムパスワードを電話やSNSで教えない
・不審な電話があったことを家族や信頼できる人と共有する
・固定電話やスマートフォンの迷惑電話対策を確認する
警察庁は、特殊詐欺などの迷惑電話への対策として、防犯機能を備えた電話機や迷惑電話対策アプリの活用についても案内しています。
ただし、迷惑電話対策によってすべての詐欺電話を防げるわけではありません。
また、国際電話番号の着信対策や知らない番号の着信制限などは、利用している電話回線や端末によって設定方法が異なります。
特に仕事や海外の家族との連絡などで国際電話を利用する人は、必要な着信まで遮断しないように注意してください。
家族が不審な電話を信じている場合は、一方的に責めるのではなく、相手の説明を一緒に確認し、正規の警察窓口へ相談する方法が有効です。
また、最近のニセ警察詐欺は高齢者だけが狙われるものではありません。
携帯電話やLINEを日常的に利用している若い世代も含め、誰でも被害に遭う可能性があるため、年齢に関係なく注意が必要です。
出典:警察庁「ニセ警察詐欺に注意!」、警察庁「特殊詐欺の統計・対策情報」
2026年のニセ警察詐欺の被害件数・被害額は?
ニセ警察詐欺は、現在も全国で多くの被害が確認されています。
警察庁が2026年10月2日に公表した8月末時点の暫定値では、2026年1~8月のニセ警察詐欺の認知件数は6,346件、被害額は728.6億円でした。
前年の同じ期間と比べると、認知件数は274件減少した一方、被害額は155.1億円増加しています。
つまり、2026年は件数が前年同期より減っている一方、被害額は増えているという状況です。
| 対象期間 | 認知件数 | 被害額 |
|---|---|---|
| 2025年1~12月(確定値) | 11,014件 | 1,005.0億円 |
| 2026年1~8月(暫定値) | 6,346件 | 728.6億円 |
| 2026年1~8月の前年同期比 | 274件減(4.1%減) | 155.1億円増(27.0%増) |
※2025年通年と2026年1~8月では集計期間が異なります。増減については、2026年8月末の公表資料に記載された前年同期比を使用しています。
また、警察庁は2026年から「ニセ警察詐欺」を独立した手口として位置付け、特殊詐欺の統計分類を変更しました。
そのため、2025年以前の特殊詐欺全体の件数と、2026年以降の件数を比較する場合は注意が必要です。
なお、2025年のニセ警察詐欺は、各手口に含まれていたものを抽出した11,014件であり、オレオレ詐欺に含まれる10,859件とは集計範囲が異なります。
両者を合計して被害件数を増やすことはできません。
被害者の年代も変化している
2025年通年のニセ警察詐欺の認知件数は、30代が2,239件で最も多く、次いで20代が1,718件でした。
一方、2026年上半期(1~6月)の資料では、70代が869件で最も多く、被害額も151.6億円で最多となっています。
次いで60代が666件、30代が664件でした。
ただし、2025年通年と2026年上半期では比較期間が異なるため、この数字だけで被害が若年層から高齢者へ完全に移ったと断定することはできません。
重要なのは、ニセ警察詐欺が特定の年代だけの問題ではないことです。
警察庁の資料では、2026年上半期の被害において、最初の接触が電話だったものは4,385件で全体の98.2%を占めています。
電話をきっかけにした被害が非常に多いため、最初の連絡の段階で本物かどうかを確認することが重要です。
出典:警察庁「令和7年における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について(確定値)」、警察庁「令和8年8月末における特殊詐欺の認知・検挙状況等」(2026年10月2日)、警察庁「令和8年上半期の認知・検挙状況等」(2026年7月31日公表)
ニセ警察詐欺の見分け方と相談先まとめ
ニセ警察詐欺では、警察官を名乗る人物が電話をかけ、架空の逮捕状や捜査を理由に金銭・個人情報などをだまし取ろうとします。
実在する警察署の電話番号を表示させたり、LINEのビデオ通話で警察手帳や逮捕状を見せたりする手口も確認されています。
ただし、本物の警察から一般の人へ電話がかかってくることはあります。
そのため、電話がかかってきたという事実だけで判断せず、一度通話を切り、自分で調べた警察署の公式番号に確認することが大切です。
特に、LINEへの誘導、逮捕状の画像送付、資産調査を理由にした送金要求などがあった場合は、詐欺を強く疑う必要があります。
また、氏名や住所を伝えた場合、免許証の画像を送った場合、銀行の暗証番号や認証コードを教えた場合では、必要な対応が異なります。
すでにお金を振り込んでしまった場合は、できるだけ早く銀行と警察へ連絡してください。振り込め詐欺救済法による被害回復の可能性はありますが、全額の返還が保証されるわけではありません。
さらに、LINEの画面共有や遠隔操作アプリを利用してしまった場合は、接続の停止と銀行口座の安全確認が重要になります。
不審な連絡や被害について相談する場合は、次の窓口を利用できます。
| 相談先 | 用途 |
|---|---|
| 110番 | 身の危険が迫っている場合、緊急の通報 |
| #9110 | 不審電話や詐欺に関する警察相談 |
| 188 | 消費生活に関する相談。最寄りの消費生活センターなどにつながる |
| 最寄りの警察署 | 不審な警察官の真偽確認、被害相談 |
| 利用している銀行・振込先銀行 | 不正送金、口座情報の流出、振込被害への対応 |
| 本人確認書類の発行・交付元 | 免許証などの情報が流出した際の対応確認 |
なお、緊急性のない警察相談には「#9110」を利用できますが、受付方法や対応時間は地域によって異なる場合があります。
電話がつながらない場合は、都道府県警察の公式サイトに掲載されている相談窓口も確認してください。
ニセ警察詐欺で使われた個人情報の取得元や、どのような人物が実行役になっているのかなどは、個々の事件によって異なります。
特殊詐欺グループの受け子・出し子・かけ子などの役割については、関連記事「闇バイトの受け子として逮捕された女性のその後と裁判」でも紹介しています。
警察を名乗る相手から不審な電話やLINEが届いた場合は、一人で判断しようとせず、正規の警察窓口へ確認してください。
主な参考資料と確認日
情報確認日:2026年10月24日。警察庁・警視庁・国民生活センター・金融庁・IPA・JICC・イオン銀行などの公式資料を確認しました。被害統計は、2025年の確定値と2026年8月末の暫定値、2026年上半期の年代別資料を区別して使用しています。2026年から警察庁の特殊詐欺の分類が変更されたため、過去の手口別統計との単純比較には注意が必要です。身分証画像や銀行の認証情報を伝えた場合の対応は、情報の種類と被害状況によって異なります。また、振り込め詐欺救済法による被害回復には条件があり、返金を保証するものではありません。各制度・相談窓口・統計などは今後変更される可能性があります。
- 警察庁「ニセ警察詐欺に注意!」
- 警察庁「ニセ警察詐欺の特異な手口」(2026年6月5日)
- 警察庁「令和7年における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について(確定値)」(2026年5月22日)
- 警察庁「令和8年8月末における特殊詐欺の認知・検挙状況等について(暫定値)」(2026年10月2日)
- 警察庁「令和8年上半期における特殊詐欺の認知・検挙状況等について(暫定値)」(2026年7月31日公表)
- 警察庁「特殊詐欺の認知・検挙状況等について」
- 警視庁「警察官等をかたる詐欺」(2026年4月15日更新)
- 国民生活センター「警察を名乗る電話に注意!-警察がLINEに誘導することはありません-」(2025年4月23日)
- LINEヤフー「その電話、本当に警察? 専門家に聞くニセ警察詐欺の手口と対策」(2026年2月2日)
- イオン銀行「LINE『パーティー機能』などを悪用した画面共有詐欺にご注意ください」(2026年10月1日)
- 金融庁「振り込め詐欺等の被害にあわれた方へ」
- 日本信用情報機構(JICC)「運転免許証等の画像が流出した場合の本人申告コメント」
- IPA「遠隔操作ソフト(アプリ)を悪用される手口に気をつけて!」

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