闇バイトの受け子・出し子・かけ子は何が違う?役割と罪名・刑罰を比較

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闇バイトによる特殊詐欺事件のニュースで、「受け子」「出し子」「かけ子」という言葉を見かけることがあります。

いずれも犯罪グループの中で役割を分担する人物を指しますが、実際に何をしているのか、どのような罪に問われるのかには違いがあります。

簡単に説明すると、受け子は被害者から現金などを受け取る役、出し子はATMなどから現金を引き出す役、かけ子は被害者に電話をかけてだます役です。

ただし、受け子だから必ず詐欺罪、出し子だから必ず窃盗罪と決まるわけではありません。

例えば、受け子が被害者から現金をだまし取る場合は詐欺罪が問題になりますが、キャッシュカードをすり替えて持ち去る場合は窃盗罪が問題になります。

また、2025年7月には、特殊詐欺の出し子について、窃盗罪だけでなく電子計算機使用詐欺罪の共犯としての責任も認めた最高裁判決が出ています。

さらに、警察庁の2025年の統計では、特殊詐欺で検挙された2,338人のうち、受け子は1,379人で約6割を占めていました。

「受け取るだけなら罪は軽いのか」「犯罪だと知らなかった場合はどうなるのか」「報酬を受け取っていなくても逮捕されるのか」といった疑問を持つ人もいるのではないでしょうか。

この記事では、受け子・出し子・かけ子の役割、詐欺罪と窃盗罪の違い、指示役や見張り役の責任、未成年の場合の扱い、闇バイトから抜け出すための相談先まで整理します。

闇バイトの受け子・出し子・かけ子の違い|主な役割と罪名を比較

闇バイトとは、SNSやインターネット掲示板などで高額報酬をうたい、詐欺や強盗といった犯罪の実行役を募集することを指す言葉です。

警察庁は、こうした募集を単なるアルバイトではなく、犯罪実行者の募集であると注意喚起しています。

特殊詐欺では、被害者に電話をかける人物、現金を受け取る人物、ATMから現金を引き出す人物などが、それぞれ別の役割を担当することがあります。

主な役割と、問題になり得る罪名を一覧にすると次のとおりです。

役割主な行為問題となる罪名の例
受け子被害者から現金やカードを受け取る詐欺罪・窃盗罪など
出し子不正に取得されたカードなどでATMから現金を引き出す窃盗罪・詐欺関連の共犯など
かけ子被害者に電話などでうその説明をして金銭をだまし取ろうとする詐欺罪・詐欺未遂罪など
指示役実行役に指示を出し犯行を進める詐欺罪・窃盗罪などの共同正犯等
リクルーター犯行に参加する人物を募集・勧誘する関与の内容によって共犯等
現金回収・運搬役不正に得られた現金などを回収・運搬する共犯・犯罪収益に関する罪など
見張り役犯行現場周辺の警戒などを担当する関与した犯罪の共同正犯・幇助犯等

※「受け子」「出し子」「かけ子」などは犯罪グループ内の役割を表す通称であり、刑法で定められた正式な罪名ではありません。表の罪名は代表例であり、実際にどの罪が成立するかは、具体的な行為や犯罪に関する認識、他の人物との共謀の有無などによって異なります。

例えば、「出し子」という役割を担当していても、単に現金を引き出した行為だけでなく、グループ全体が行った詐欺について責任を問われる場合があります。

同様に、被害者と直接会っていない指示役やかけ子にも、事件への関与に応じた刑事責任が生じる可能性があります。

まずは、それぞれの役割を詳しく見ていきます。

出典:法務省「令和3年版犯罪白書・特殊詐欺事犯者の特徴」、大阪府警「闇バイトに加担させないための啓発資料」


受け子とは?現金をだまし取る場合とカードを盗む場合で罪名が違う

受け子とは、特殊詐欺の被害者などから現金やキャッシュカードを受け取る役割のことです。

例えば、警察官や銀行関係者、親族の代理人などになりすまし、被害者の自宅を訪問して現金を受け取る人物が受け子と呼ばれます。

ただし、受け子の行為がすべて同じ犯罪になるわけではありません。

特に重要なのが、被害者がだまされて自ら現金を渡した場合と、本人の意思に反してカードを盗まれた場合では、成立する罪が異なるという点です。

現金をだまし取る場合:詐欺罪

例えば、犯行グループが息子などになりすまして電話をかけ、被害者に現金が必要だと思い込ませ、受け子がその現金を受け取る場合です。

被害者がうその説明を信じて現金を交付しているため、刑法第246条の詐欺罪が問題になります。

キャッシュカードをすり替えて持ち去る場合:窃盗罪

一方、警察官などを装って被害者宅を訪れ、被害者が目を離した隙にキャッシュカードを別のカードにすり替えて持ち去る手口もあります。

この場合、被害者は本物のカードを渡す意思がないため、カードを盗む行為として窃盗罪が問題になります。

警察庁はこの手口を「キャッシュカード詐欺盗」と呼んでいます。

つまり、ニュースで「受け子が窃盗容疑で逮捕された」と報じられていても、必ずしも間違いではありません。

被害者と接触する受け子という役割は同じでも、金銭やカードをどのように取得したかによって、詐欺罪と窃盗罪の違いが生じます。

出典:警察庁「キャッシュカード詐欺盗」、警察庁「令和2年警察白書・キャッシュカード詐欺盗」


出し子とは?ATMからお金を引き出すだけでも窃盗罪になる

出し子とは、詐欺グループなどが不正に取得したキャッシュカードを使い、ATMから現金を引き出す役割のことです。

受け子は被害者と直接会うことがありますが、出し子は被害者本人と会わずに犯行へ関与する場合があります。

そのため、「自分は電話で人をだましていない」「現金を引き出すよう頼まれただけ」と考える人もいるかもしれません。

しかし、正当な権限なく他人名義のキャッシュカードなどを使い、ATMから現金を引き出す行為には、窃盗罪が成立する場合があります。

被害者から直接お金を受け取っていなくても、ATMから現金を取り出す行為自体が犯罪となり得るためです。

さらに、出し子が問われる罪は窃盗罪だけとは限りません。

2025年7月11日には、最高裁判所が、特殊詐欺事件の出し子について、電子計算機使用詐欺罪の共謀共同正犯の成立を認めた判決を出しています。

この事件では、出し子が特殊詐欺などの犯罪で得た現金を引き出す可能性を認識したうえで犯行に関わっていたことや、犯行グループとの関係などが問題となりました。

最高裁は、具体的な事実関係を踏まえ、出し子にも電子計算機使用詐欺の共謀が認められると判断しました。

つまり、実際に被害者をだました人物ではなくても、犯罪グループ全体の詐欺について責任を問われる場合があるということです。

ただし、この判決はすべての出し子に自動的に詐欺罪が成立するという意味ではありません。どの犯罪に関する認識や共謀があったかなど、個別の事実関係が重要になります。

出典:最高裁判所「令和7年7月11日・窃盗、電子計算機使用詐欺等被告事件」、同事件の最高裁判決全文


かけ子とは?電話をかけるだけでも詐欺罪になるのか

かけ子とは、特殊詐欺グループの中で、被害者に電話をかけてうその説明をする役割です。「架け子」と表記されることもあります。

例えば、警察官や銀行職員、親族などを装って被害者に連絡し、現金の交付や送金を求める役割を担当します。

受け子や出し子とは異なり、被害者と直接会ったり、ATMから現金を引き出したりしないこともあります。

しかし、詐欺罪は被害者をだまして財物を交付させる犯罪であり、実際に現金を受け取る人物だけが責任を問われるわけではありません。

犯行グループと共謀して被害者をだます電話をかけ、現金を交付させた場合には、かけ子にも詐欺罪が成立する可能性があります。

また、現金を受け取る前に犯行が発覚したとしても、犯罪の実行に着手していれば詐欺未遂罪が成立する場合があります。

ただし、電話をかけたという事実だけで、すべて詐欺罪になるというわけではありません。

犯罪に関する認識や電話の内容、他の実行役との関係、実行に着手したといえるかどうかなどによって判断が変わります。

「直接お金を受け取っていないから犯罪ではない」とも、「電話をかけただけで必ず詐欺罪になる」とも一律には判断できないということです。

なお、刑法第250条では詐欺罪などの未遂も処罰の対象とされています。

出典:法務省「特殊詐欺の犯行グループにおける役割」、刑法第246条・第250条


指示役・リクルーター・運び屋・見張り役は何をしている?

特殊詐欺グループには、受け子・出し子・かけ子以外にも複数の役割があります。

警察庁の統計では、実行役のほかに、指示役、リクルーター、現金回収・運搬役、道具調達役、見張り役などが区分されています。

指示役

受け子や出し子などへ指示を出し、犯行を進める立場の人物です。犯罪の実行を直接担当していなくても、共謀などが認められれば共同正犯として責任を問われる場合があります。

リクルーター

SNSや知人関係などを通じて、犯行に加わる人物を募集・勧誘する役割です。単なる紹介という説明であっても、犯罪に関する認識や関与の内容によっては共犯などの責任が問題となります。

現金回収・運搬役

受け子や出し子などが取得した現金を回収したり、別の人物に運搬したりする役割です。犯行への関与や、現金が犯罪で得られたものと認識していたかなどによって、共犯や犯罪収益に関する罪が問題になる場合があります。

見張り役

犯行現場の周辺で警戒するなど、実行役を補助する立場の人物です。

見張り役であっても、犯行グループの計画に加わり犯罪の実行を支えていた場合には、共同正犯や幇助犯として責任を問われる可能性があります。

また、これらの役割は必ずしも一人ひとつとは限りません。複数の役割を兼ねたり、途中で担当が変わったりする場合もあります。

ただし、どの役割が必ず重い罪になるか、という単純な順位はありません。

本人が何をしたのか、どのような犯罪を認識していたのか、ほかの人物とどのように関わっていたのかなどが、実際の刑事責任を判断する材料となります。

出典:警察庁「特殊詐欺の認知・検挙状況等」、刑法第60条・第62条など


受け子と出し子はどちらが罪が重い?詐欺罪・窃盗罪の刑罰を比較

受け子と出し子では、どちらの罪が重いのか疑問に思う人もいるかもしれません。

しかし、受け子や出し子という役割名だけで刑罰が決まるわけではありません。

例えば、受け子に詐欺罪が成立した場合の法定刑は10年以下の拘禁刑です。

一方、出し子などに窃盗罪が成立した場合の法定刑は、10年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金となっています。

現在の刑法で定められている主な罪と法定刑は次のとおりです。

罪名法定刑関係する行為の例
詐欺罪10年以下の拘禁刑人をだまして現金などを交付させる
窃盗罪10年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金カードのすり替え、不正なATM引き出しなど
電子計算機使用詐欺罪10年以下の拘禁刑コンピューターへの虚偽情報の入力などにより不法な利益を得る
強盗罪5年以上の有期拘禁刑暴行・脅迫によって財物を奪う
強盗致傷罪無期または6年以上の拘禁刑強盗によって人を負傷させる

※2026年10月時点の刑法に基づく法定刑です。2025年6月1日から懲役刑と禁錮刑は拘禁刑に一本化されています。未遂犯や共犯などに関する具体的な処罰は、個別の事件の事情によって異なります。

表を見ると、詐欺罪と窃盗罪はいずれも拘禁刑の上限が10年ですが、窃盗罪には罰金刑の規定もあります。

ただし、それだけで受け子より出し子の刑罰が軽いと判断することはできません。

犯行への関与の程度、被害額、事件の件数、共謀の内容などによって、実際に言い渡される刑罰は変わります。

また、闇バイトでは詐欺だけでなく、住宅などに侵入して金品を奪う強盗事件も発生しています。

強盗罪や強盗致傷罪は、詐欺罪や窃盗罪とは別の犯罪です。強盗によって被害者が負傷した場合には、さらに重い法定刑が定められています。

つまり、受け子・出し子・かけ子のどの役割なら安全、どの役割なら必ず軽い処罰で済む、ということはありません。

出典:e-Gov法令検索「刑法」、大阪府警「闇バイトに加担させないための啓発資料」


特殊詐欺で検挙された約6割が受け子|2025年の警察庁統計

では、実際に特殊詐欺事件で検挙されているのは、どのような役割の人物が多いのでしょうか。

警察庁が公表した「令和7年における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について(確定値)」によると、2025年の特殊詐欺の検挙人員は2,338人でした。

このうち、受け子は1,379人で全体の59.0%を占め、最も多い役割となっています。

また、出し子は301人で、全体の12.9%でした。

そのほかの役割別検挙人員も含めて比較すると、次のとおりです。

役割検挙人員割合
受け子1,379人59.0%
出し子301人12.9%
現金回収・運搬156人6.7%
リクルーター165人7.1%
打ち子・架け子95人4.1%
主犯69人3.0%
出し子・受け子・見張りの指示役41人1.8%
出し子・受け子の見張り役26人1.1%
道具調達34人1.5%
その他72人3.1%
合計2,338人100.0%

※警察庁の2025年確定値に基づく数字です。割合は公表値で、小数点以下の処理によって合計に端数が生じる場合があります。2025年までの特殊詐欺の従来区分に基づく集計であり、2026年から変更された分類による数字ではありません。

この統計から、受け子が検挙された人物の中で大きな割合を占めていることが分かります。

ただし、受け子が犯罪グループの中で最も多く存在するという意味ではありません。

受け子は被害者と直接会ったり、現金を受け取るために移動したりすることが多く、警察による職務質問や捜査で検挙される機会がある一方、指示役などは実行役と直接接触しない場合もあります。

法務省の研究でも、受け子や出し子は他の役割に比べて早い段階で検挙されやすい可能性が指摘されています。

また、2025年に検挙された受け子1,379人のうち、353人は少年でした。これは受け子全体の25.6%に当たり、受け子として検挙された人物のおよそ4人に1人が少年だったことになります。

この数字は、若い世代が特殊詐欺の実行役として犯罪に巻き込まれている状況を示しています。

出典:警察庁「令和7年における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について(確定値)」19~20ページ


犯罪だと知らなかった場合は?報酬を受け取っていなくても罪になるのか

闇バイトに関する事件では、「普通の仕事だと思っていた」「現金を運ぶだけだと説明されていた」「犯罪に関係するとは知らなかった」といった主張が問題になることがあります。

刑法第38条では、原則として犯罪の故意がなければ処罰されないと定められています。

そのため、本人がどのような事実を認識していたのかは、刑事責任を判断するうえで重要です。

ただし、「犯罪だとは知らなかった」と本人が説明するだけで、自動的に罪に問われなくなるわけではありません。

例えば、仕事内容や報酬が極端に不自然だったこと、他人名義のカードを使用していたこと、指示内容など、具体的な状況から犯罪に関する認識が問題になる場合があります。

また、犯罪だと確信していなくても、犯罪である可能性を認識しながら関与した場合には、故意が認められることがあります。

一方、実際に重要な事情を知らず、犯罪に関する認識が認められない場合には、成立する罪が変わる可能性があります。

こうした判断は、個別の証拠や事実関係に基づいて行われるため、一律には結論を出せません。

報酬を受け取っていない場合も同様です。

詐欺罪や窃盗罪が成立するかどうかは、必ずしも本人が報酬を受け取ったかどうかだけで決まるものではありません。

また、受け子として現金を受け取る前に警察に検挙された場合でも、詐欺未遂や窃盗未遂などが成立することがあります。

ただし、単に求人に応募しただけなのか、具体的な犯罪の実行に着手したのかによっても判断は異なります。

「受け取っていないから無罪」「報酬がなければ罪は軽い」といった単純な説明はできません。

出典:刑法第38条・第43条・第243条・第250条


未成年でも受け子で逮捕される?14歳未満・18歳以上では扱いが違う

闇バイトは、SNSや知人からの誘いなどを通じて、未成年者が関与する事件も発生しています。

2025年の警察庁統計では、特殊詐欺で検挙された少年は468人で、そのうち353人が受け子でした。

つまり、少年の検挙人員の75.4%が受け子として関与していたことになります。

では、未成年の場合は大人と同じように処罰されるのでしょうか。

まず、刑法では14歳未満の行為は刑罰の対象としません。

ただし、14歳未満だから何の対応も行われないというわけではなく、児童相談所などによる保護の手続きが取られる場合があります。

一方、14歳以上20歳未満で犯罪を行った人は、原則として少年法に基づく少年事件の手続きの対象となります。

また、18歳・19歳については、2022年4月から「特定少年」として、17歳以下とは一部異なる取り扱いが定められています。

少年事件では、家庭裁判所による審判や保護処分などが中心となりますが、事件の内容によっては刑事裁判の対象となることもあります。

したがって、「18歳未満だから逮捕されない」「未成年なら実刑にならない」ということではありません。

重大な犯罪に関与した場合には、少年であっても厳しい法的責任を問われる可能性があります。

また、刑事責任とは別に、被害者に対する損害賠償の問題が生じる場合もあります。

出典:裁判所「少年事件とは」、法務省「少年法が変わります!」


受け子として逮捕された実際の事件|「やーだ!」と叫んだ女性のその後

闇バイトの受け子として注目された事件の一つに、2020年に東京都内で発生した、女性に対する職務質問から逮捕へ至った事件があります。

この女性は警察官とのやり取りで「やーだ!」「どいて!」などと繰り返し発言し、その様子がSNSなどで大きく話題になりました。

事件後には女性の名前や逮捕の経緯、その後の裁判についても関心が集まりました。

このように、受け子は特殊詐欺グループの実行役として逮捕され、個別の事件について捜査や裁判が行われることがあります。

ただし、話題になった事件の結論が、すべての受け子に同じように当てはまるわけではありません。

受け子の刑事責任は、本人がどのような行為をしたのか、犯行グループとの関係、被害額などによって異なります。

この事件で注目された女性や、その後の裁判の経緯については、関連記事「「やーだ!どいて!」と連呼していた受け子女性のその後・判決と闇バイト」でも紹介しています。


闇バイトの募集を見分けるには?「荷物を受け取るだけ」でも注意

闇バイトは、最初から「詐欺の受け子を募集します」といった形で募集されるとは限りません。

警察庁や大阪府警は、高額な報酬を示しながら具体的な仕事内容を明らかにしない求人や、匿名性の高い通信アプリへの誘導などに注意を呼びかけています。

例えば、以下のような募集や指示がある場合は、犯罪に関わる危険性があります。

・「短時間で高収入」「即日現金」などの不自然に高い報酬
・「荷物を受け取るだけ」「書類を運ぶだけ」など仕事内容が曖昧
・応募後にTelegramやSignalなど匿名性の高いアプリへ誘導される
・仕事の説明より先に身分証明書や顔写真、家族の情報を求められる
・具体的な会社名や仕事内容を十分に説明しない
・途中でやめようとすると、家族や自宅への危害をほのめかされる

こうした特徴が一つあるだけで必ず犯罪の募集だと断定できるわけではありませんが、複数当てはまる場合は特に注意が必要です。

また、警察庁は、知人や先輩からの紹介であっても安心できるとは限らないと呼びかけています。

実際に、2025年の特殊詐欺検挙統計では、受け子等となった経緯として、SNSからの応募だけでなく知人等の紹介も多く確認されています。

犯罪グループは、応募者の身分証などを利用して脅迫し、犯行から抜け出しにくくさせる場合があります。

仕事内容がおかしいと感じた段階で、指示に従って行動する前に、警察などに相談することが重要です。

出典:警察庁「いわゆる『闇バイト』の危険性について」、大阪府警「闇バイトの危険な募集手口」


闇バイトから抜け出せない場合は?個人情報を送った後でも相談できる

闇バイトに応募してしまった人の中には、途中で犯罪だと気づいても、身分証明書や自宅の住所を相手に伝えてしまったため、やめられないと感じる人もいます。

また、「家族に危害を加える」「自宅に行く」「個人情報を公開する」などと脅され、指示に従わざるを得ない状況に追い込まれる場合もあります。

このような状況について、警察庁は、すでに個人情報を送ってしまった場合や、自分や家族への危害をほのめかされている場合でも、犯罪に加担せず警察へ相談するよう呼びかけています。

犯罪グループからの脅迫があるからといって、それに従って犯罪を行うことが安全な解決方法になるわけではありません。

警察庁は、相談を受けた本人とその家族を保護する方針を明示しています。

相談先は次のとおりです。

状況相談先
すぐに危険が迫っている、脅迫を受けている110番
闇バイトに応募した、抜け出したいなどの相談#9110(警察相談専用電話)
近くで直接相談したい最寄りの警察署
未成年者の相談各都道府県警察の少年相談窓口など

すでに指示役などとのやり取りが残っている場合は、メッセージや連絡先などについても警察に相談し、適切な対応を確認してください。

相手に一人で会いに行ったり、自分だけで解決しようとしたりすることは避ける必要があります。

また、すでに犯罪に関与してしまった可能性がある場合は、その事実も含めて警察や弁護士へ相談することが重要です。

「身分証を送ってしまったから、もう断れない」ということではありません。

警察庁は、犯罪に関わってしまう前に引き返すよう呼びかけています。

出典:警察庁「犯罪実行者募集情報へ応募してしまった方へ」、警視庁「#BAN 闇バイト」


闇バイトの受け子・出し子・かけ子の違いまとめ

闇バイトによる特殊詐欺事件では、受け子・出し子・かけ子など、複数の人物が役割を分担している場合があります。

受け子は被害者から現金やキャッシュカードを受け取る役、出し子は不正に取得されたカードなどを使ってATMから現金を引き出す役、かけ子は被害者に電話をかけてだます役です。

ただし、役割名だけで成立する罪が決まるわけではありません。

受け子でも、現金をだまし取る場合には詐欺罪、キャッシュカードをすり替えて盗む場合には窃盗罪が問題になります。

また、出し子についても、ATMからの現金引き出しによる窃盗罪だけでなく、詐欺グループとの共謀が認められ、電子計算機使用詐欺罪の責任を問われた最高裁判決があります。

かけ子や指示役についても、直接現金を受け取っていないという理由だけで刑事責任を免れるわけではありません。

2025年の警察庁統計では、特殊詐欺で検挙された2,338人のうち1,379人が受け子で、全体の59.0%を占めていました。

さらに、受け子のうち353人は少年であり、若い世代が実行役として犯罪に加担している状況も確認されています。

「知らなかった」「報酬を受け取っていない」「現金を運ぶだけだった」といった事情についても、それだけで刑事責任の有無が決まるわけではありません。

本人が何をしたのか、どのような犯罪を認識していたのか、犯行への関与の程度などによって判断されます。

また、闇バイトに応募してしまった場合や、個人情報を送ってしまって脅されている場合には、犯罪グループの指示に従わず、警察へ相談することが重要です。

特殊詐欺の受け子として逮捕された実際の人物や、その後の裁判については、関連記事「「やーだ!どいて!」と連呼していた受け子女性のその後・判決と闇バイト」でも紹介しています。


主な参考資料と確認日

情報確認日:2026年10月23日。警察庁の闇バイト注意喚起、2025年の特殊詐欺検挙状況の確定値、法務省の犯罪白書、刑法、2025年7月11日の最高裁判決、警視庁・大阪府警の公式資料、裁判所の少年事件に関する案内などを確認しました。2025年の統計は従来の特殊詐欺区分によるもので、2026年以降の分類と単純比較できない場合があります。受け子・出し子・かけ子などは犯罪グループ内の役割を表す通称であり、実際に成立する罪名や刑罰は、各事件の行為・故意・共謀・証拠などの具体的事情によって異なります。本文に記載した刑罰は2026年10月時点の法定刑であり、個別の事件における判決を予測するものではありません。法律や統計、警察の相談窓口に関する情報は今後変更される場合があります。

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