こめおの食中毒78人は多いのか?過去5年の統計と大規模食中毒を比較

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2026年8月に開催された麻布十番納涼まつりで、「割烹こめを」が販売した冷やし蟹ラーメンを原因とする食中毒が発生しました。

東京都が9月3日に公表した食中毒患者は78人で、このうち51人が医療機関を受診し、3人が入院しています。原因物質はサルモネラ属菌と特定されました。

ここで気になるのが、「78人という食中毒は、飲食店の事故としてどれくらい大きいのか?」という点です。

一方、報道では体調不良を訴えた人が160人を超えているとも伝えられています。

ここでいう「78人」は、東京都が食中毒患者として確認・公表した人数であり、「体調不良者160人超」とは同じ数値ではありません。

本記事では、厚生労働省が公表する過去の食中毒統計と条件をそろえるため、行政が公表した患者78人を基準に比較します。

こめおの食中毒78人はどれくらい大規模だったのか

では、この「患者78人」という規模は、飲食店で起きた食中毒としてどれくらい大きい事案なのでしょうか。

厚生労働省が公開している2021~2025年の5年間の食中毒発生事例を独自集計したところ、原因施設が「飲食店」とされた2,358件のうち、患者78人以上の事故は66件。

割合は2.80%でした。

100件あたりにすると約3件です。

つまり、78人という人数は飲食店の食中毒としてかなり人数の多い側に入ります。

一方で、日本では100人、500人、800人を超える食中毒も発生しており、「過去にほとんど例がない規模」というわけでもありません。

そこでこの記事では、今回の78人という数字を過去5年間の統計から確認するとともに、同程度・さらに大規模な食中毒を起こした店舗や事業者が、その後どうなったのかまで調べました。

※患者数や店舗の状況は2026年9月6日時点で確認できた情報を基準にしています。

冷やし蟹ラーメンで78人が食中毒|51人受診・3人入院

今回の食中毒は、2026年8月22日・23日に開催された「麻布十番納涼まつり」で販売された冷やし蟹ラーメンをめぐって発生しました。

東京都の発表によると、原因施設は「割烹こめを」。原因食品は同店が調理し、イベント会場で販売した冷やし蟹ラーメン、原因物質はサルモネラ属菌とされています。

9月3日午前9時時点で公表された被害状況は次のとおりです。

  • 食中毒患者:78人
  • 男性:48人
  • 女性:30人
  • 医療機関を受診:51人
  • 入院:3人
  • 入院した3人はすでに退院
  • 主な症状:下痢、腹痛、発熱など

「割烹こめを」には9月3日から7日間の営業停止命令が出されています。(東京の保険医療)

78人のうち51人が医療機関を受診しているため、単に「一時的に体調を崩した人が多数いた」というだけではなく、多くの人が診察を必要とした食中毒だったことが分かります。

「患者78人」と「体調不良者160人超」は何が違う?

今回の報道では「78人」と「160人超」という2つの数字が出ているため、混乱しやすい部分です。

テレビ朝日は、8月31日の港区長会見時点で保健所に116人から体調不良の連絡が寄せられ、その後、体調不良者は160人を超えたと報じています。(テレ朝NEWS)

一方、東京都が9月3日時点で食中毒患者として公表している人数は78人です。(東京の保険医療)

そのため、本記事では過去の厚生労働省統計と条件をそろえるため、「食中毒患者78人」を比較基準とします。

「160人超=全員が行政上の食中毒患者として確定した」という意味ではない点には注意が必要です。

また、過去の事例を見ると、調査が進むにつれて患者数が増えたケースもあります。78人についても9月3日時点の公表値であり、今後行政の発表が更新される可能性があります。


患者78人以上は過去5年間の飲食店食中毒の2.80%

では、患者78人という人数は飲食店の食中毒としてどれくらい多いのでしょうか。

厚生労働省が公開する2021~2025年の「食中毒発生事例」を使い、原因施設が「飲食店」と記載された事故だけを集計しました。

旅館、仕出屋、給食施設、製造所など、別の施設区分になっている事故は含めていません。(厚生労働省)

結果は次のとおりです。

飲食店の食中毒総件数患者78人以上割合
2021年283件7件2.47%
2022年380件4件1.05%
2023年489件10件2.04%
2024年548件16件2.92%
2025年658件29件4.41%
5年間合計2,358件66件2.80%

5年間では、飲食店の食中毒2,358件。のうち患者78人以上は66件

計算すると、

66件 ÷ 2,358件 × 100 = 約2.80%

となります。

言い換えると、

「2021~2025年の飲食店食中毒を100件並べると、患者78人以上の事故は約3件」

という割合です。

この数字を見る限り、今回の78人は「飲食店で普通に見かける程度の患者数」とはいえません。

一方、78人以上の事故自体は2021~2025年のすべての年で発生しています。

そのため、「数十年に一度しかない」「全国で前例がない」と表現するのも適切ではありません。

なお、この2.80%は飲食店の「店舗数」に対する割合ではなく、厚生労働省に記録された「食中毒事故件数」に対する割合です。

また、患者数だけを基準にした数字なので、重症者数や死者数、症状の程度などを含めた「事故の深刻さの順位」を示しているわけでもありません。

患者1人の事故を除いても78人以上は3.61%

もう一つ確認しておきたいのが、「患者1人の事故まで分母に入れているため、2.80%と低く見えているのではないか?」という点です。

そこで患者2人以上の飲食店食中毒だけに限定すると、

1,830件中66件

となり、割合は3.61%でした。

患者1人だけの事故528件を除外しても、患者78人以上は約3.6%です。

つまり、分母の条件を多少変えても、今回の78人が人数の多く、規模の大きい食中毒であるという見方は大きく変わりません。


78人は国への即時報告に使われる「50人」という人数基準も超える

食中毒の規模を考えるうえでは、行政上の基準も一つの参考になります。

食品衛生法第63条では、一定規模・一定条件の食中毒について、都道府県知事等が厚生労働大臣へ直ちに報告する仕組みが定められています。

食品衛生法施行規則第73条では、その人数を「50人」としています。

今回の78人は、この人数基準を上回っています。

ただし、「50人以上なら重大、49人以下なら軽い」という意味ではありません。

死亡者や重篤患者が発生した場合、複数の都道府県に患者が広がった場合、特定の病因物質が疑われる場合なども即時報告の対象です。

今回の原因であるサルモネラ属菌自体も、施行規則の対象病因物質に含まれています。

そのため、50人という数字はあくまで「行政上設けられている人数基準の一つ」と考えるのが適切です。


今回とほぼ同じ規模の食中毒を起こした店はその後どうなった?

ここからは、今回と同じサルモネラ属菌による過去の事故を中心に比較します。

事例患者数原因当時の処分その後
鹿児島・つるの恩がえし77人サルモネラ3日間営業停止現在の営業状況は確定できず
割烹こめを78人サルモネラ7日間営業停止営業再開未定・閉店も視野
長野・油屋旅館81人サルモネラ調理部門3日間営業停止現在も営業
三重・中国料理 四川152人サルモネラ営業禁止現在も営業

人数だけでなく原因菌も同じため、「78人規模のサルモネラ食中毒」を考えるうえでは比較しやすい事例です。

鹿児島・うなぎ調理品|77人で今回とほぼ同じ規模

2022年7月、鹿児島県霧島市で、うなぎの蒲焼きや白焼きを原因食品とするサルモネラ食中毒が発生しています。

鹿児島県の最終的な食中毒発生一覧では、

摂食者110人
患者77人
死者0人
原因物質:サルモネラ属菌O4群

と記録されています。(鹿児島県公式サイト)

今回の「78人」とわずか1人差です。

事故発覚当初は患者75人と報じられ、53人が病院で治療を受け、5人が入院。霧島市国分松木町の弁当店「つるの恩がえし」には、7月30日から3日間の営業停止命令が出されました。(感染症.com)

「75人→最終77人」と後から数字が増えている点も注目できます。

食中毒では、調査が進むにつれて患者が追加される場合があることが分かります。

一方、その後「つるの恩がえし」が営業再開したのか、閉店したのかについては、現在の公開情報だけでは確定できませんでした。

霧島市内には同名の飲食店情報が残っていますが、事故当時の弁当店とは所在地や業態が異なり、同一店舗・同一営業者であることを確認できません。現在の掲載情報も「運営状況を確認できない」とされています。(食べログ)

そのため、この事例については「現在も営業」「食中毒後に閉店」のどちらにも断定しないのが適切です。

長野・油屋旅館|81人でも現在は営業を継続

今回と非常に近い事例が、2026年8月に長野県諏訪市の油屋旅館で発生しています。

8月8~9日に旅館で調理・提供された食事を食べた49グループ176人のうち、34グループ81人が下痢、腹痛、発熱などを発症。

患者便と食品からサルモネラ属菌が検出され、諏訪保健所は8月20~22日の3日間、調理部門の営業停止を命じました。(長野県公式サイト)

今回の78人とは3人差で、原因も同じサルモネラです。

では、油屋旅館は食中毒後に閉館したのでしょうか。

2026年9月6日時点では営業が確認できます。

油屋旅館の公式サイトでは現在も宿泊案内が掲載され、夕食の創作和食膳と約40種類のハーフバイキング、朝食バイキングなどを案内しています。

さらに2026年9月1日~10月31日の料理フェアも掲載されています。(伊東園ホテルズ公式サイト【最低価格保証】関東温泉旅行)

つまり、今回とほぼ同規模の81人のサルモネラ食中毒が発生しても、そのまま廃業したわけではありません。

行政処分後に営業を続けている実例となります。

三重・中国料理 四川|第一報31人から最終152人へ

2023年には三重県桑名市の飲食店で、さらに大きなサルモネラ食中毒が発生しています。

7月31日の三重県発表では、7月21日・22日に飲食店を利用した44人のうち31人が下痢、発熱などを発症。

患者便だけでなく、従業員の便や施設のふき取り検査からもサルモネラ属菌が検出され、店舗は営業禁止処分となりました。(三重県公式サイト)

その後調査が進み、三重県の2023年最終集計では、

摂食者213人
患者152人
死者0人
原因:サルモネラ属菌

と記録されています。(三重県公式サイト)

つまり、

第一報31人

最終152人

まで患者数が増えた事例です。

今回の「78人」が今後152人や160人になるという意味ではありません。

ただし、「体調不良の連絡人数」と「行政が食中毒患者として確定した人数」が途中段階で異なっていたり、調査の進展によって最終患者数が増えたりすること自体は、過去にもあったことが分かります。

当時の報道では事故店舗は桑名市の「中国料理 四川」とされています。(News Everyday)

2026年9月現在も「中国料理 四川」は桑名市大仲新田で営業時間などが掲載され、「年中無休で営業中」と案内されています。2025年以降の来店情報も確認できます。(食べログ)

三重県は、食中毒で処分した施設名・営業者名について「処分解除後に削除」すると説明しています。(三重県公式サイト)

2023年の営業禁止処分が具体的にいつ解除されたのかという一次資料までは確認できませんでしたが、現在は営業が継続しているとみられます。

今回の78人のおよそ2倍となる152人の食中毒でも、その後営業している店舗があることになります。


さらに大規模な食中毒では500人・800人を超えた例も

78人は飲食店の食中毒として人数の多い事故ですが、日本ではさらに大規模な集団食中毒も発生しています。

ここでは、その後も営業した事例と、廃業した事例を一つずつ見てみます。

吉田屋|554人の食中毒後も現在営業

2023年9月、青森県八戸市の吉田屋が製造した駅弁によって大規模な食中毒が発生しました。

最終的な患者数は29都道府県で554人。八戸市保健所は吉田屋を営業禁止処分としています。(八戸市公式サイト)

「吉田屋 海鮮駅弁で食中毒 八戸市保健所 同社を行政処分」について
本年9月、株式会社吉田屋が製造した駅弁を食べた人に嘔吐や下痢の症状が相次ぎ、調査の結果、食中毒と断定し9月23日付で同社を営業禁止処分としたものであります。原因となった駅弁は、全国各地で行われた「駅弁フェア」などで広く販売されたもので、患者は29都道府県で554人に上るなど、今回の件は、食の安全に対して大きな不安を抱かせることになったものと感じております。今後、一層、食品衛生の取組を強化し、皆様に安全な食品を安心して召し上がっていただけるよう、努めてまいります。

記者会見 令和5年12月20日/八戸市

厚生労働省資料でも、2023年に患者500人以上となった食中毒の一つとして、患者554人・原因施設「製造所」と記録されています。(厚生労働省)

その後、吉田屋は営業を再開しています。

2026年現在も公式サイトで駅弁の製造・販売を行っており、八戸駅、新青森駅、東京駅などの販売店舗も案内されています。2026年の惣菜・べんとうグランプリでは受賞商品も公表されています。(吉田屋)

ただし吉田屋は厚生労働省上の原因施設区分が「製造所」であり、今回の「飲食店2,358件」の統計には含まれません。

あくまで「さらに大規模な食中毒後も事業を続けた例」としての参考事例です。

大滝観光流しそうめん|892人で廃業

一方、大規模食中毒をきっかけに廃業した例もあります。

2023年8月、石川県津幡町の「大滝観光流しそうめん」で、湧き水を使用した食事によるカンピロバクター食中毒が発生しました。

最終的な患者数は892人。

厚生労働省資料では原因施設が「飲食店」と分類され、2023年の患者500人以上の食中毒として記録されています。(厚生労働省)

この892人は、今回集計した「2021~2025年に患者78人以上だった飲食店66件」の中にも含まれる事故です。

食品安全委員会の会合でも、患者892人の事例として取り上げられ、その施設は廃業したことが説明されています。(森林総合研究所)

運営側は当時、患者への損害賠償を終えた段階で廃業する方針を公表していました。(ツギノジダイ)

78人とは規模も原因菌も異なるため直接的な比較はできませんが、「大規模食中毒後に営業を続けた例」と「廃業した例」の両方が存在することが分かります。


食中毒の患者数が多いと店は閉店するのか

ここまで過去の事例を見ると、大規模な食中毒を起こしたからといって、必ず店舗や会社が廃業するわけではないことが分かります。

今回確認できた事例では、

81人の油屋旅館は営業継続

152人の中国料理 四川も現在営業が確認されています。

554人の吉田屋も営業を続けています

一方、892人の大滝観光流しそうめんは廃業しています。

つまり、「患者が何人になったら閉店」という単純な線引きはできません。

食中毒後の店舗や事業者の状況には、行政処分だけでなく、衛生管理体制を改善できるか、被害者への補償、売上や信用への影響、取引先との関係、経営者自身の判断など、さまざまな要素が関係してくると考えられます。

今回の割烹こめをについても、「78人だから過去事例から見て閉店する」と予測することはできません。

ただし、すでに実店舗の営業停止だけでは収まらない影響も出ています。

「かにを」が出店を予定していた「東京カレー万博2026」と「大つけ麺博 presents ラー1グランプリ」は、食中毒事案を受けて出店取りやめを発表しました。(オリコンニュース(ORICON NEWS))

行政上の営業停止期間だけでなく、その後のイベント出店やブランドへの信用にも影響が広がっていることが分かります。


割烹こめをは閉店するのか?こめおは「閉店も視野」と説明

では、割烹こめをは今後どうなるのでしょうか。

こめお氏は9月5日に公開した謝罪動画で、7日間の営業停止期間が終了した後についても、すぐに営業を再開する予定ではないことを説明しています。

さらに「割烹こめを」の閉店も視野に入れながら、衛生管理体制の見直しと再発防止策を行ったうえで、営業再開するかどうかを判断するとしています。

2026年9月6日時点では、営業再開日は決まっていません。(日刊スポーツ)

また、自身が今後も飲食の現場に携わるかについても「今は判断できない状況」と説明しています。(日刊スポーツ)

そのため現時点では、

「割烹こめをの閉店が決定した」

とはいえません。

正確には、

「閉店も視野に入れているものの、営業再開する可能性も含めて検討している段階」

となります。

過去の事例を見ても、80人前後や150人を超える食中毒後に営業を続けている店舗があります。

一方で、大規模食中毒をきっかけに廃業した例もあります。

そのため、割烹こめをの今後については、78人という患者数だけではなく、再発防止策や被害者への対応、信用回復、今後の経営判断などを含めて見ていく必要がありそうです。


今回の78人は「かなり大規模だが、前例のない規模ではない」

今回の調査をまとめると、こめお氏が手がける「割烹こめを」の冷やし蟹ラーメンによる食中毒は、飲食店の事故として人数規模の大きい集団食中毒だったと考えてよさそうです。

厚生労働省の2021~2025年のデータでは、

飲食店の食中毒:2,358件
患者78人以上:66件
割合:2.80%

でした。

患者2人以上の事故だけに絞っても、78人以上は1,830件中66件、3.61%です。

「過去5年間の飲食店食中毒を100件並べると、78人以上は約3件」

と考えると、今回の規模がイメージしやすいのではないでしょうか。

ただし、過去には152人、892人など、さらに患者数の多い飲食店の食中毒も発生しています。

そのため、

「かなり人数の多い食中毒だった」

とはいえる一方、

「前例のない規模」
「過去最大級」

とまではいえないような程度でもある。

また、過去の店舗を見ると、大規模食中毒後に営業を続けた例と、廃業した例の両方があります。

今回の事故が「割烹こめを」の閉店につながるかどうかについても、現時点で患者数だけから判断することはできません。

こめお氏自身は閉店も視野に入れていると説明しているため、営業停止期間が終わる9月9日以降の対応について、引き続き確認する必要があります。


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