個人情報を持たない企業はどこ?タイムズカー・焼肉きんぐなど9事例と削除内容

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2026年、企業への不正アクセスや個人情報の漏えいが相次ぐなか、顧客情報を長期間保存しない方針へ切り替える企業が出てきています。

11月6日放送の日本テレビ系『news every.』では、タイムズカー、焼肉きんぐ、ゆで太郎、ニコニコレンタカー、ウェンディーズ・ファーストキッチンなどが、個人情報の保有方法を見直していると報じられました。

例えば、タイムズカーは従来、会員期間中と退会後7年間保存していた運転免許証などの画像を、会員登録完了後に削除する運用へ変更。焼肉きんぐを運営する物語コーポレーションは、2027年上半期をめどに公式アプリで氏名と電話番号を保持しない仕組みへ移行する方針です。

一方、情報漏えいが確認されていない企業でも、会員制度を終了したり、免許証画像の事前登録を廃止したりする動きがあります。

では、実際にどの企業が個人情報を手放す判断をしたのでしょうか。また、これまで登録した情報は本当に削除されるのでしょうか。

この記事では、2026年11月8日までに確認できた主な9つの企業・サービスの取り組みを比較し、削除する個人情報の種類、実施時期、サービス利用者への影響を整理します。あわせて、個人情報を持たない仕組みが広がる理由や、情報漏えいを防ぐうえでの効果と限界についても解説します。

  1. 個人情報を持たない企業はどこ?9つの事例と削除・保有見直しの内容
    1. 個人情報の削除・保有削減を決めた企業9事例の一覧
    2. タイムズカーは運転免許証画像を削除|退会後7年間の保存を見直し
      1. これまでは退会後も7年間保存していた
      2. 免許証画像を削除しても会員情報がすべて消えるわけではない
    3. 焼肉きんぐは氏名・電話番号の保存を廃止へ|2027年上半期に変更予定
      1. 焼肉きんぐ以外も含む11アプリで変更
      2. メールアドレスは当面残す方針
    4. ゆで太郎はバースデークラブを終了|12月のクーポン発送後に個人情報を削除
      1. 2026年12月分が最後のクーポン
    5. ニコニコレンタカーは免許証画像の事前登録を廃止|店舗で直接確認へ
      1. 保存していた免許証画像は削除済み
      2. 古いアプリには登録画面が残る場合がある
    6. ウェンディーズ・ファーストキッチンは個人情報なしでアプリ登録が可能に
      1. モバイルオーダーでは名前・電話番号などが必要
    7. ほかにも会員情報を削除・削減した企業はある?
      1. HOUSEMEDIA|会員機能を終了して氏名・メールアドレスを削除
      2. ポイ探|会員サービスを終了してポイント認証情報も削除
      3. KIKISUU atelier|会員登録をやめてゲスト購入に一本化
      4. レンタルスタジオIrodori|使っていない予約システムの情報を削除
    8. 自治体でも不要な個人情報を削除|大分県中津市の事例
    9. なぜ企業は個人情報を持たない方向へ変わっているのか?
      1. 情報漏えいが発生したときの被害を小さくできる
      2. 国も不要な個人データの削除を重視している
      3. 企業側にはサービスの利便性との両立が課題
    10. 個人情報を削除すれば情報漏えいの被害もなくなるのか?
      1. 会員登録を不要にしても個人情報を使わないとは限らない
      2. 利用者が確認しておきたいこと
    11. 個人情報を持たない企業は今後も増えるのか?
    12. 個人情報を手放す企業の一覧と今後の変更予定まとめ

個人情報を持たない企業はどこ?9つの事例と削除・保有見直しの内容

今回のニュースで注目されているのは、企業がサイバー攻撃への防御を強めるだけでなく、そもそも保存する個人情報を減らそうとしていることです。

会員登録や予約、本人確認などで取得した氏名、住所、電話番号、メールアドレス、運転免許証画像などは、サービスの運営に役立つ一方、保存している間は不正アクセスによる漏えいリスクが残ります。

そのため、必要な手続きが終わった情報を削除したり、利用者が登録する項目を最小限にしたりする企業が出ています。

ただし、「個人情報を持たない」という表現には注意が必要です。会員情報をすべて削除する企業もあれば、免許証画像だけを削除する企業、氏名と電話番号の保存をやめる予定の企業もあります。

すべての企業が、顧客に関する情報を完全に保存しなくなるわけではありません。


個人情報の削除・保有削減を決めた企業9事例の一覧

2026年11月8日までに確認できた主な企業・サービスの取り組みをまとめました。

今回の一覧には、実際に個人情報の削除を完了した事例だけでなく、将来的な削減方針を発表した事例や、会員登録の方法を変更した事例も含めています。

現在の実施状況を区別して確認してください。

企業・サービス変更する内容実施状況
パーク24
(タイムズカー)
運転免許証など本人確認書類の画像を登録完了後に削除ルール変更済み。保有画像は2026年10月末までに削除すると発表
物語コーポレーション
(焼肉きんぐなど)
グループ11アプリで氏名・電話番号を保持しない仕組みへ2027年上半期に変更予定
ゆで太郎システムバースデークラブを終了し、登録済みの個人情報を削除2026年12月の最終クーポン発送後に削除予定
ニコニコレンタカーアプリでの運転免許証画像の事前登録を廃止2026年10月27日に発表。保有画像の削除完了
ファーストキッチン
(ウェンディーズ・ファーストキッチンなど)
アプリ登録時の個人情報入力を不要にする仕組み2026年5月にアプリを刷新
HOUSEMEDIA会員機能を終了し、氏名・メールアドレスなどを削除2026年10月14日に終了を発表
ポイ探会員向けサービスを終了し、会員情報・ポイントサービスの認証情報を削除2026年10月31日に削除完了
KIKISUU atelier会員登録・ログインを廃止し、ゲスト購入へ変更2026年10月13日に会員登録を終了
レンタルスタジオIrodori旧予約システムの不要な個人情報を削除2026年10月28日に削除対応を公表
2026年11月8日までに確認できた各社の公式発表、日テレNEWS NNNの報道をもとに作成。9事例は国内すべての取り組みを網羅したものではありません。また、削除対象や実施状況は企業によって異なります。

特に大きな違いは、情報漏えいを経験してから保有方針を変更した企業と、漏えいが確認される前に予防策として変更した企業があることです。

タイムズカーや焼肉きんぐは、不正アクセスによる情報漏えいが公表された後に、個人情報の保有方針を見直しました。

一方、ゆで太郎やニコニコレンタカーは、今回の変更を発表した時点で自社における個人情報漏えいは確認されていないと説明しています。

以下では、主な企業の対応内容を詳しく確認します。


タイムズカーは運転免許証画像を削除|退会後7年間の保存を見直し

個人情報の保有方針を大きく変更した企業の一つが、カーシェアリングサービス「タイムズカー」を展開するパーク24です。

タイムズカーでは2026年9月25日、Webシステムへの不正アクセスが確認されました。

10月23日に公表された第5報では、調査の結果、本人確認書類の画像データ約146万件について、外部送信の痕跡が確認されたと説明しています。

対象となったのは運転免許証画像などの本人確認書類で、画像は暗号化された状態で保管されていました。

そのため、外部送信の痕跡が確認されたことと、攻撃者が画像の内容をそのまま閲覧できたことは同じではありません。

一方、会社は将来的に暗号化されたデータが復号される可能性を完全には否定できないとも説明しています。

これまでは退会後も7年間保存していた

パーク24の公式発表によると、タイムズカーでは従来、会員登録時に提出された運転免許証などの画像を、会員期間中に加えて退会後7年間保存していました。

本人確認手続きだけでなく、不正利用が疑われる場合の調査、問い合わせ対応、その他の本人確認業務にも使用するためです。

しかし、今回の不正アクセスを受けて、画像を長期間保有するリスクと必要性を再検討しました。

その結果、会員登録が完了した後は、本人確認書類の画像を保有しないルールに変更しています。

さらに、それまで保有していた本人確認書類の画像についても、利用者本人から削除の申し出がなくても、2026年10月末までに削除する方針を発表しました。

11月6日放送の日テレNEWS NNNでは、保存していた画像の削除を終えたと報じられています。

免許証画像を削除しても会員情報がすべて消えるわけではない

ここで注意したいのは、削除対象が主に本人確認書類の画像であるという点です。

パーク24は、画像を削除した後も、将来の問い合わせなどに対応するため、過去に保存していた画像との同一性を確認するための情報は保全すると説明しています。

つまり、運転免許証などの画像を削除することと、会員の氏名・住所・利用に関する記録などをすべて削除することは別です。

また、すでに外部へ送信されたデータについては、会社側が元の保存データを削除しても、第三者の手元にある可能性までなくせるわけではありません。

今回の変更は、今後同様の情報が漏えいするリスクを減らすための対策として理解する必要があります。

公式発表:パーク24「タイムズカーWebシステムへの不正アクセスによる個人情報漏えいに関する第5報」(2026年10月23日)

タイムズカーの不正アクセスによる情報漏えいについて、対象となる利用者や免許証画像への影響などを詳しく確認したい場合は、関連記事「タイムズカー660万件流出は誰が対象?免許証画像・退会者への影響と対象者を整理」も参考にしてください。


焼肉きんぐは氏名・電話番号の保存を廃止へ|2027年上半期に変更予定

焼肉きんぐを運営する物語コーポレーションも、個人情報の保有方法を見直す方針を発表しています。

2026年10月2日に焼肉きんぐの公式アプリ会員管理システムが不正アクセスを受け、10月3日に会員情報の漏えいを確認しました。

同社が10月5日に公表した漏えい件数は1078万8963件です。対象となった情報には、会員番号、氏名に相当するアプリ登録名、メールアドレス、電話番号が含まれています。

その後、10月20日には再発防止策の一つとして、公式アプリで取得・保有する個人情報を削減する方針を公表しました。

焼肉きんぐ以外も含む11アプリで変更

物語コーポレーションの発表によると、変更の対象となるのは焼肉きんぐだけではありません。

同社グループが運営する計11の公式アプリで、氏名と電話番号を保持しない新しいシステムへ変更する方針です。

従来は店舗予約システムとの連携や予約の案内などのため、アプリ登録名と電話番号を取得していました。

しかし、今回の不正アクセスを受けて、万が一再び情報漏えいが発生した場合でも利用者への影響を小さくできるよう、保有する情報そのものを減らすことにしました。

変更時期は2027年上半期を予定しており、2026年11月8日時点ですでに新しい仕組みへ完全移行したという発表ではありません。

メールアドレスは当面残す方針

もう一つ重要なのが、メールアドレスの取り扱いです。

物語コーポレーションは、予約機能や利用者の利便性を維持するため、2027年上半期の変更後もメールアドレスの取得は継続する予定だと説明しています。

ただし、将来的にはメールアドレスも含めた個人情報を保持しないシステム構造へ刷新するため、開発を進める方針です。

つまり、最初の段階では氏名・電話番号の保存をやめ、将来的にはメールアドレスも保持しない仕組みを目指すという二段階の計画です。

現在の時点で、メールアドレスを含むすべての個人情報を削除済みと説明することはできません。

公式発表:物語コーポレーション「焼肉きんぐ公式アプリにおける今後のセキュリティおよび個人情報保護強化策」(2026年10月20日)

焼肉きんぐで発生した不正アクセスの経緯や、実際に漏えいした情報については、関連記事「焼肉きんぐで約1079万件の情報漏えい|アプリ会員は対象?漏れた情報・アプリへの影響を整理」で紹介しています。


ゆで太郎はバースデークラブを終了|12月のクーポン発送後に個人情報を削除

そばチェーンの「ゆで太郎」でも、顧客情報の保有を減らすための変更が発表されています。

ゆで太郎システムは2026年10月28日、公式サイトで「バースデークラブ終了のお知らせ」を公開しました。

バースデークラブは、会員の誕生月にクーポンを届けるためのサービスです。会員の氏名、住所、電話番号、生年月日などを登録していました。

しかし、企業で個人情報の漏えい事件が相次いでいることを受け、利用者の情報をより慎重に取り扱うため、サービス自体を終了することにしました。

2026年12月分が最後のクーポン

ゆで太郎システムの公式発表では、バースデークラブの新規会員募集はすでに終了しています。

既存会員については、2026年12月生まれの人へのクーポン発送を最後にサービスを終了し、その後、保有していた会員の個人情報を速やかに消去するとしています。

したがって、11月8日時点では、すべての会員情報が削除されたわけではありません。

2026年12月の最後の発送が終わった後に削除する予定です。

また、会社は今回の発表で、自社における個人情報漏えいなどの被害は発生していないと説明しています。

タイムズカーや焼肉きんぐとは異なり、実際の情報漏えいを受けた対応ではなく、他社で相次ぐ事件を踏まえた予防的な判断です。

なお、終了するのはバースデークラブであり、ゆで太郎のすべての店舗やサービスが個人情報を一切取得しなくなるという発表ではありません。

公式発表:ゆで太郎システム「バースデークラブ終了のお知らせ」


ニコニコレンタカーは免許証画像の事前登録を廃止|店舗で直接確認へ

ニコニコレンタカーも、顧客の個人情報を保有する方法を変更しました。

2026年10月27日、公式アプリ「ニコパス」で提供していた運転免許証画像の事前登録機能を廃止すると発表しています。

これまでは、利用者がアプリに免許証画像を登録できる仕組みがありましたが、今後はレンタカーを借りる当日に店舗で運転免許証を確認する方法へ変更しました。

変更の理由について、会社は最近のサイバー攻撃の増加を踏まえ、個人情報の保護を強化するためだと説明しています。

保存していた免許証画像は削除済み

ニコニコレンタカーの発表で重要なのは、今後の登録をやめるだけでなく、それまで保有していた運転免許証画像もすべて削除済みと説明していることです。

また、2026年10月27日時点で、個人情報漏えいなどの事象は確認されていないとしています。

そのため、今回の免許証画像削除は、実際に流出した画像への対応というより、今後のリスクを減らすための予防策です。

古いアプリには登録画面が残る場合がある

利用者が注意したいのは、アプリのバージョンによっては免許証画像の登録画面が表示される場合があることです。

ニコニコレンタカーによると、バージョン2.56.0以前の「ニコパス」では、画像の登録を求める画面が表示される場合があります。

ただし、その画面で登録完了と表示された場合でも、画像データが保存されることはないと説明しています。

今後、アプリから予約した場合も、店舗を利用する当日に運転免許証の現物を持参し、スタッフへ提示する必要があります。

アプリによる事前登録の利便性は一部失われますが、免許証画像を長期間保存しない仕組みへ変更したことになります。

公式発表:ニコニコレンタカー「アプリ予約における本人確認方法変更のお知らせ」(2026年10月27日)


ウェンディーズ・ファーストキッチンは個人情報なしでアプリ登録が可能に

ファーストキッチンとウェンディーズ・ファーストキッチンでも、アプリの登録方法が変更されています。

両ブランドの公式アプリは2026年5月21日にリニューアルされ、クーポンの配信やモバイルオーダーに加え、利用金額に応じた特典を受け取れる「First Wendy’s Passport」が導入されました。

11月6日放送の日テレNEWS NNNでは、今回のアプリ変更について、氏名などの個人情報を入力しなくても会員登録できる仕組みになったと報じています。

つまり、従来のように会員登録の段階で利用者の詳しい個人情報を集めなくても、アプリを利用できる形です。

モバイルオーダーでは名前・電話番号などが必要

ただし、個人情報をまったく入力しなくてよいという意味ではありません。

日テレNEWS NNNの報道によると、モバイルオーダーを利用する際には、名前や電話番号などの入力が必要になります。

一方、商品の受け渡しが終わると、入力された情報はその都度削除されるということです。

今回の変更は、最近の情報漏えい事件が相次いだことだけを理由に決められたものではなく、アプリの登録を簡単にし、利用者の負担を減らす目的もあったと報じられています。

なお、公式のアプリリニューアル案内では新機能やポイント制度が主に説明されており、個人情報の削除タイミングなどの詳しい運用は、今回確認できた日テレの取材内容に基づいています。

また、アプリへの個人情報入力が不要でも、端末に関する情報などを含むすべてのデータを一切扱わないという意味ではありません。

公式案内:ファーストキッチン「公式アプリリニューアルのお知らせ」(2026年5月20日)


ほかにも会員情報を削除・削減した企業はある?

今回の動きは、全国的に知られている大手企業だけに限られません。

2026年10月には、Webメディア、ポイント管理サービス、ネットショップ、レンタルスタジオなどでも、個人情報の保有方法を見直す発表がありました。

なかには、会員制度そのものを終了し、これまで保存してきた情報を削除した事例もあります。

HOUSEMEDIA|会員機能を終了して氏名・メールアドレスを削除

住宅・不動産などの情報を発信するWebメディア「HOUSEMEDIA」は、2026年10月14日に会員機能の終了を発表しました。

サイバーセキュリティを取り巻く状況を踏まえ、個人情報を保有するリスクを減らすことが目的です。

会員機能の終了に伴い、登録されていた氏名やメールアドレスなどの会員情報を会員システムから削除すると説明しています。

これまで利用できたマイページやお気に入り記事機能は終了しますが、記事や製品情報は会員登録なしで引き続き閲覧できます。

利用者が個別に退会手続きをする必要はないと案内されています。

公式発表:HOUSEMEDIA「会員機能終了および会員情報削除のお知らせ」(2026年10月14日)

ポイ探|会員サービスを終了してポイント認証情報も削除

ポイント管理サービス「ポイ探」も、2026年10月31日に会員向けサービスを終了しました。

ポイ探は2006年から、さまざまなポイントサービスの残高管理やポイント交換を支援する機能を提供してきました。

しかし、各ポイントサービスの認証方式やセキュリティ対策が変化し、残高を自動的に取得する機能の安定提供が難しくなっていたと説明しています。

さらに、不正アクセスが増えている状況を踏まえ、会員情報を安全に管理する観点からも見直しが必要だと判断しました。

その結果、会員登録が必要なサービスを終了し、会員情報に加えて、暗号化して保存していた各ポイントサービスの認証情報も10月31日に削除したと発表しています。

ただし、ポイント交換ルート検索やニュースなど、会員登録なしで利用できる一部の機能は継続しています。

公式発表:ポイ探「会員向けサービス終了に関するお知らせ」

KIKISUU atelier|会員登録をやめてゲスト購入に一本化

ネットショップ「KIKISUU atelier」では、2026年10月13日をもって会員登録機能を終了しました。

公式ショップでは、セキュリティ対策を強化するための変更だと説明しています。

今後は会員登録やログインを必要とせず、ゲスト購入のみで買い物ができる仕組みです。

ただし、会員登録機能を廃止したことと、商品配送などに必要な個人情報を一切取得しないことは別です。

また、今回確認した案内だけでは、過去の購入者情報をすべて削除したかどうかまでは明らかになっていません。

そのため、この事例は個人情報の全面削除ではなく、会員登録を必要としない購入方法への変更として整理するのが正確です。

公式案内:KIKISUU atelier公式ショップ「会員機能の終了のお知らせ」

レンタルスタジオIrodori|使っていない予約システムの情報を削除

レンタルスタジオIrodoriは、2026年10月28日、個人情報の管理体制を見直し、旧予約システムに保存されていた不要な顧客情報を削除したと発表しました。

すでに利用を終了した予約システムの中に、過去の予約時に登録された情報が一部残っていたため、今回あらためて確認し、削除対応を行ったということです。

現在は公式ホームページからの予約にLINE予約サービス「よやくる」を利用しています。

会社の説明によると、予約に関する情報は予約システムやLINEなどの各サービス上で管理され、公式ホームページ内で顧客の個人情報を独自に保存する運用は原則として行っていません。

ただし、これは予約に必要な情報がどこにも残らないという意味ではありません。

利用している外部の予約サービスなどでは、それぞれの仕組みに応じた情報管理が必要になります。

公式発表:レンタルスタジオIrodori「個人情報の管理体制見直しおよび旧予約システムのデータ削除について」(2026年10月28日)


自治体でも不要な個人情報を削除|大分県中津市の事例

個人情報の保有方法を見直す動きは、民間企業だけではありません。

大分県中津市は2026年10月、委託先のシステムが不正アクセスを受けたことを公表しました。

対象となったのは、緊急情報の電話・FAX配信に使われる登録者情報や、市職員等参集システムに登録されていた情報です。

中津市は対応として、緊急情報の電話・FAX配信を一時停止するとともに、職員等参集システムの登録者情報を全件削除しました。

対象の職員等参集システムは、2026年度から別のシステムへ移行していたため、登録情報の削除による業務への影響はないと説明しています。

これは、すでに利用しなくなったシステムに残っていた個人情報を削除した事例です。

ただし、中津市は10月23日更新の発表で、外部への情報流出の事実や二次被害は確認されていないとしています。

不正アクセスの発生と、個人情報が実際に外部へ流出したことは区別する必要があります。

公式発表:大分県中津市「メール等委託業者への不正アクセスによる個人情報漏洩の可能性について」


なぜ企業は個人情報を持たない方向へ変わっているのか?

企業が会員情報を取得する理由は、本人確認や予約管理だけではありません。

氏名、住所、電話番号、メールアドレス、生年月日などを登録してもらうことで、誕生日クーポンを送ったり、キャンペーンを案内したり、継続的な利用を促したりすることができます。

しかし、こうした情報を長期間保存していると、サイバー攻撃によって情報が外部へ流出するリスクも残り続けます。

2026年は大規模な個人情報漏えいが相次いでおり、企業が大量の顧客情報を持ち続けること自体を見直す動きにつながっています。

情報漏えいが発生したときの被害を小さくできる

個人情報を必要以上に保存しないことの大きな利点は、万が一システムに不正アクセスがあっても、流出する可能性のある情報を減らせることです。

例えば、レンタカーの本人確認に運転免許証画像が必要だったとしても、本人確認が終わった後に画像を削除する仕組みであれば、長年分の画像データが同じシステムに蓄積されることを避けられます。

また、飲食店の予約アプリでも、氏名や電話番号を継続的に保存しなくて済む仕組みが実現すれば、将来の漏えい時に影響を受ける情報の範囲を小さくできる可能性があります。

今回のパーク24や物語コーポレーションの変更は、こうした考え方に沿ったものです。

ただし、情報を減らすだけで不正アクセス自体を防げるわけではありません。システムの脆弱性対策や監視体制の強化なども引き続き必要です。

国も不要な個人データの削除を重視している

個人情報を必要以上に保有しないことは、企業独自の判断だけではなく、国の考え方とも関係しています。

個人情報保護委員会は、個人情報保護法についての公式Q&Aで、取得した個人情報の保存期間が法律によって一律に決められているわけではないと説明しています。

その一方で、個人データを利用する必要がなくなった場合には、遅滞なく消去するよう努める必要があるとしています。

また、個人情報保護委員会は、不要となったデータを適切に消去することが、情報漏えいなどを防ぐうえで重要だと注意喚起しています。

つまり、「一度集めた情報は、いつまでも保存してよい」という考え方ではありません。

ただし、法令上の保存義務や、サービスを提供するために必要な情報もあるため、すべての個人情報をすぐに削除しなければならないという意味でもありません。

参考:個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドラインに関するQ&A」、個人情報保護委員会「データの消去に関する注意喚起」

企業側にはサービスの利便性との両立が課題

個人情報を減らせば、それまで提供していた一部の機能が利用できなくなる場合があります。

ゆで太郎ではバースデークラブが終了し、HOUSEMEDIAではマイページやお気に入り記事機能が利用できなくなります。

また、ニコニコレンタカーでは、アプリに免許証画像を事前登録する方法をやめ、利用当日に店舗で免許証を提示する必要があります。

このように、個人情報を保存しないことには安全面の利点がある一方、利用者の手続きが増えたり、便利な機能が終了したりする場合もあります。

そのため、今後は必要な個人情報だけを短期間利用し、サービスの利便性をできるだけ維持する仕組みが重要になると考えられます。

今回の各社の取り組みは、その方法が業種によって異なることを示しています。


個人情報を削除すれば情報漏えいの被害もなくなるのか?

個人情報の削除は、将来の情報漏えいリスクを減らす対策として重要ですが、すでに発生した漏えいを取り消せるわけではありません。

例えば、不正アクセスによって第三者にデータが持ち出された後、企業が自社システムに保存していた同じデータを削除しても、第三者が取得したデータまで自動的に消えるわけではありません。

また、運転免許証画像を削除した場合でも、氏名や住所、会員番号など、サービスの提供に必要なほかの情報が残っている可能性があります。

そのため、企業が「個人情報を削除した」と発表した場合には、何を削除したのか、どの情報は引き続き保存するのかを確認する必要があります。

会員登録を不要にしても個人情報を使わないとは限らない

会員登録を必要としない「ゲスト購入」などの仕組みでも、商品の配送や支払い、問い合わせ対応のために氏名や住所などの情報が必要になる場合があります。

例えば、ネットショップで会員登録をやめたとしても、商品を届けるための配送先情報は必要です。

また、LINEなど外部サービスを使って予約する場合も、予約情報が外部サービス側のシステムで管理されることがあります。

したがって、「会員登録不要」「自社サイトに個人情報を保存しない」という案内だけで、利用者に関するすべての情報がどこにも保存されないと考えるのは正確ではありません。

利用者が確認しておきたいこと

今回のような情報保有方針の変更が発表された場合、利用者としては、次の点を確認しておくとよいでしょう。

  • 削除されるのは氏名・電話番号・免許証画像など、どの情報なのか
  • すでに削除済みなのか、これから削除する予定なのか
  • アプリの更新や店頭での本人確認など、利用方法に変更があるのか
  • 過去に情報漏えいが発生している場合、自分が対象者なのか
  • 会員登録をやめた後も、注文・予約・決済情報などは保存されるのか

なお、個人情報の削除について疑問がある場合は、利用しているサービスのプライバシーポリシーや公式問い合わせ窓口を確認する方法があります。

個人情報保護法には、一定の条件のもとで保有個人データの利用停止や消去を求める仕組みもありますが、利用者が請求すれば必ずすべての情報が直ちに削除されるという意味ではありません。

サービスの利用状況や保存する必要性などによって取り扱いが異なるため、詳しい条件は個人情報保護委員会の公式情報を確認してください。


個人情報を持たない企業は今後も増えるのか?

2026年11月8日時点では、個人情報の保有を減らす企業が今後どの程度増えるのか、具体的な社数や割合を示す公的な統計は今回の調査では確認できていません。

ただし、2026年10月から11月にかけて、複数の企業が相次いで情報の削除や会員制度の見直しを公表していることは確認できます。

今回の事例を見ると、その背景は一つではありません。

タイムズカーや焼肉きんぐのように、実際の情報漏えいを受けて保有方針を変更した企業もあれば、ゆで太郎やニコニコレンタカーのように、漏えいが確認される前にリスクを減らす判断をした企業もあります。

また、ファーストキッチンのように、アプリの利用を簡単にすることと情報漏えいリスクを減らすことを両立させようとする事例もあります。

こうした違いを踏まえると、今後はすべての個人情報を一律に集めるのではなく、必要な場面で必要な情報だけを利用する方向へ、企業の考え方が変わっていく可能性があります。

一方、本人確認や法令上の保存義務などがあるサービスでは、個人情報の保有を完全になくすことは難しい場合もあります。

今後の各社の発表では、単に「情報を削減する」と説明しているだけでなく、何を、いつ、どのような方法で削除するのかが重要な確認ポイントになります。


個人情報を手放す企業の一覧と今後の変更予定まとめ

2026年11月8日までの調査では、タイムズカー、焼肉きんぐ、ゆで太郎、ニコニコレンタカー、ウェンディーズ・ファーストキッチンなどで、個人情報の保存方法を見直す取り組みが確認できました。

さらに、HOUSEMEDIA、ポイ探、KIKISUU atelier、レンタルスタジオIrodoriでも、会員情報の削除や会員登録制度の終了、不要なデータの整理などが公表されています。

なかでも、タイムズカーは運転免許証などの本人確認書類画像について、会員登録完了後に保有しないルールへ変更しました。

焼肉きんぐを運営する物語コーポレーションは、2027年上半期にグループ11アプリで氏名と電話番号を保持しない仕組みへ移行する予定です。

ゆで太郎は、2026年12月の最終クーポン発送後に、バースデークラブの会員情報を削除する方針を示しています。

一方、ニコニコレンタカーやポイ探のように、対象となる情報の削除がすでに完了したと発表しているサービスもあります。

ただし、これらはすべて同じ意味で「個人情報を持たない企業」になったわけではありません。

削除した情報の種類、現在の実施状況、今後も保存する情報はそれぞれ異なります。また、個人情報を削除したとしても、すでに第三者へ流出した情報まで回収できるとは限りません。

今回の動きで重要なのは、個人情報を安全に保存するだけでなく、そもそも必要以上に集めず、使い終わった情報を長期間残さないという考え方が広がっていることです。

今後も各社が新しい方針を発表した場合は、実施日や削除対象を公式資料で確認し、現在の一覧を更新していく必要があります。


主な参考資料と確認日

情報確認日:2026年11月8日。日テレNEWS NNNの2026年11月6日放送内容をもとに、各企業・サービスの公式発表を個別に確認しました。この記事では、2026年11月8日までに公表された主な9つの企業・サービスの取り組みと、参考となる自治体の事例を紹介しています。国内のすべての企業を網羅した一覧ではありません。

「個人情報を持たない」という表現には、会員制度の終了、特定情報の削除、登録項目の削減、保存期間の短縮など、異なる取り組みが含まれます。各社がすべての顧客情報を完全に削除したという意味ではありません。

パーク24の2026年10月23日付第5報では、本人確認書類の画像データ約146万件について外部送信の痕跡が確認されたと説明されています。画像は暗号化されており、直ちに内容を閲覧できる状態になったという意味ではありません。同社は保有画像を10月末までに削除する方針を発表し、11月6日の日本テレビの報道では削除を終えたと伝えられています。

物語コーポレーションの氏名・電話番号の非保持化は2027年上半期を予定しており、2026年11月8日時点では実施済みではありません。また、新しい仕組みではメールアドレスの取得を当面継続する方針です。

ゆで太郎のバースデークラブの登録情報は、2026年12月の最後のクーポン発送終了後に削除する予定です。ニコニコレンタカーとポイ探は、対象となる情報の削除完了を公式に発表しています。

ファーストキッチンとウェンディーズ・ファーストキッチンのアプリ登録方法や注文時の情報削除については、日本テレビの取材報道を参照しました。公式のアプリリニューアル案内では、個人情報の削除タイミングなどの詳細を十分に確認できていません。

KIKISUU atelierについては、会員登録・ログインの終了を確認しましたが、過去の購入者情報をすべて削除したとまでは確認できていません。レンタルスタジオIrodoriについては、旧予約システムの不要な情報を削除したことを確認しました。外部の予約サービスで管理される情報まで消去されたという意味ではありません。

各社の削除完了状況、システム変更時期、会員制度の運用方法などは今後変更される可能性があります。個人情報保護法に関する説明は、個人情報保護委員会の公式Q&Aと注意喚起に基づいています。

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