2026年10月25日(日本時間)に開催されたUFC333で、38歳のアレクサンダー・ヴォルカノフスキーが、20戦無敗だったモフサル・イヴロイエフを2ラウンドTKOで下し、UFCフェザー級王座の防衛に成功しました。
ヴォルカノフスキーは2025年に36歳で王座を奪還し、37歳で初防衛。そして今回、38歳でも無敗の挑戦者をフィニッシュする強さを見せています。
UFCでは長年、男子フライ級からライト級までの4階級で、35歳を超えた選手がタイトルマッチに勝てないという「35歳の呪い」と呼ばれるジンクスがありました。その記録を初めて破ったのもヴォルカノフスキーです。
では、38歳での王座防衛はUFCの歴史でどれほど珍しいのでしょうか。過去には40代でベルトを守った選手もいますが、フェザー級では事情が異なります。
この記事では、UFC333の試合結果と勝因を振り返りながら、ヴォルカノフスキーの年齢記録、歴代王者との比較、35歳のジンクスを破った経緯、今後の引退やライト級挑戦の可能性まで整理します。
38歳ヴォルカノフスキーのUFC王座防衛と歴代年齢記録
1988年9月29日生まれのヴォルカノフスキーは、今回のUFC333を38歳で迎えました。一般的にベテランと呼ばれる年齢ですが、フェザー級では史上最高齢で王座を獲得・防衛した選手となっています。
さらに今回の勝利では、防衛成功だけでなく、フェザー級王座戦の通算勝利数でも歴代記録を更新しました。
UFC333で無敗のイヴロイエフを2R TKO
2026年10月24日(現地時間)、アラブ首長国連邦・アブダビのエティハド・アリーナで開催されたUFC333。メインイベントでは、フェザー級王者アレクサンダー・ヴォルカノフスキーに、同級ランキング1位のモフサル・イヴロイエフが挑戦しました。
試合前のイヴロイエフはMMA20戦全勝、UFCでも10連勝中。レスリングを武器に勝利を積み重ね、一度も敗れないまま世界タイトルに挑んできた難敵です。
しかし、ヴォルカノフスキーはこの無敗の挑戦者を2ラウンド4分54秒、TKOで撃破しました。
- 大会:UFC333(2026年10月24日・現地時間)
- 開催地:アラブ首長国連邦・アブダビ
- 試合:UFCフェザー級タイトルマッチ
- 勝者:アレクサンダー・ヴォルカノフスキー(38歳)
- 敗者:モフサル・イヴロイエフ(32歳)
- 決着:2ラウンド4分54秒、TKO(パンチ)
- 試合後の戦績:ヴォルカノフスキー29勝4敗、イヴロイエフ20勝1敗
第1ラウンドはイヴロイエフが得意のレスリングを生かし、繰り返しテイクダウンを仕掛けました。しかし、ヴォルカノフスキーは倒されても素早く立ち上がり、長時間のコントロールを許しません。
第2ラウンドに入ると、ヴォルカノフスキーが打撃で圧力を強めます。終盤には左フックから右ストレートを当ててイヴロイエフを崩し、倒れた相手にパウンドを連打。レフェリーが試合を止めました。
残りわずか6秒での決着となり、イヴロイエフはプロ21戦目にして初黒星。ヴォルカノフスキーは2025年の王座奪還後、2度目の防衛に成功しました。
また、2023年7月のヤイール・ロドリゲス戦以来となるフィニッシュ勝利でもあり、38歳となった現在も世界トップクラスの選手を倒し切れることを示しました。
試合結果はUFC公式のUFC333大会ページでも確認できます。
38歳で王座防衛したヴォルカノフスキーの年齢記録
今回の勝利で注目したいのは、ヴォルカノフスキーが38歳という年齢でUFCフェザー級王座を守ったことです。
フェザー級では、長年にわたってジョゼ・アルドやマックス・ホロウェイなどの名王者が活躍してきました。しかし、35歳を超えてからのタイトルマッチには厳しい記録があり、ヴォルカノフスキー自身も一度はその壁に直面しています。
2024年2月、当時35歳だったヴォルカノフスキーはイリア・トプリアにKO負けし、約4年間保持していたフェザー級王座を失いました。
そこから2025年4月に36歳で王座を奪還し、2026年には37歳と38歳で連続して防衛に成功しています。
AP通信も、ヴォルカノフスキーをUFCフェザー級で王座を獲得・防衛した史上最高齢の選手として紹介しています。
重要なのは、38歳でUFC王座を防衛したこと自体が史上初というわけではないことです。ヘビー級などには、さらに高齢で防衛した選手が存在します。
ヴォルカノフスキーの記録は、特にフェザー級という軽量階級で、38歳になっても世界王者として勝利を続けている点に大きな価値があります。
UFCの「35歳の呪い」を破ったのもヴォルカノフスキー
UFCでは以前から、男子のフライ級・バンタム級・フェザー級・ライト級という軽量4階級で、35歳を超えた選手がタイトルマッチに勝てないというジンクスが知られていました。
この記録は「35歳の呪い(35-year-old curse)」とも呼ばれ、年齢を重ねた選手が軽量級の頂点に立つことの難しさを示すものとして語られてきました。
オーストラリアABCの2025年4月の報道によると、ヴォルカノフスキーが王座を奪還する以前、該当するタイトルマッチでは35歳を超えた選手が17戦して0勝17敗という記録でした。
過去には元ライト級王者フランキー・エドガーが37歳でマックス・ホロウェイに敗れたほか、元バンタム級王者ドミニク・クルーズも35歳でヘンリー・セフードに敗れています。セフード自身も36歳でアルジャメイン・スターリングに敗れるなど、数々の実績を持つ選手でもこの壁を突破できていませんでした。
この長年の記録を打ち破ったのが、2025年4月12日のUFC314です。
当時36歳だったヴォルカノフスキーは、ディエゴ・ロペスを5ラウンド判定で下してフェザー級王座を奪還。ライト級以下の男子タイトルマッチにおいて、35歳を超えて勝利した初の選手となりました。
さらに2026年には37歳で初防衛、今回のUFC333では38歳で2度目の防衛に成功しました。
36歳でジンクスを破り、37歳、38歳と年齢を重ねながら王座戦に勝ち続けている。この点こそ、ヴォルカノフスキーの近年の戦績を特別なものにしています。
なお、この「35歳の呪い」はUFCの全階級を対象とした記録ではありません。男子フライ級からライト級までのタイトルマッチに関するもので、王座防衛戦だけでなく王座決定戦や挑戦者としての試合も含まれます。
過去に38歳以上でUFC王座を防衛した選手はいるのか?
UFC全階級に目を向けると、38歳以上で世界王座を防衛した選手は過去にも存在します。特にヘビー級やライトヘビー級では、30代後半から40代でも王座戦に勝利した例があります。
代表的な選手と、防衛に成功した試合を比較してみます。
| 選手 | 年齢 | 防衛成功した試合 |
|---|---|---|
| ランディ・クートゥア | 44歳 | 2007年 UFC74/ガブリエル・ゴンザーガ戦 |
| ダニエル・コーミエ | 39歳 | 2018年 UFC230/デリック・ルイス戦 |
| ヤン・ブラホヴィッチ | 38歳 | 2021年 UFC259/イスラエル・アデサニヤ戦 |
| アレクサンダー・ヴォルカノフスキー | 38歳 | 2026年 UFC333/モフサル・イヴロイエフ戦 |
中でも有名なのがランディ・クートゥアです。2007年8月25日のUFC74では、44歳でガブリエル・ゴンザーガを3ラウンドTKOで下し、ヘビー級王座を防衛しました。
ダニエル・コーミエも2018年11月、39歳でデリック・ルイスをリアネイキドチョークで下し、ヘビー級王座を守っています。
また、ヤン・ブラホヴィッチは2021年3月、38歳でイスラエル・アデサニヤに判定勝ちし、ライトヘビー級王座の防衛に成功しました。
このように、UFCでは38歳以上の選手が王座を防衛した例があります。ただし、これらはヘビー級やライトヘビー級での記録です。
フェザー級のヴォルカノフスキーの場合は、より軽い階級で歴代最高齢の王座獲得・防衛記録を更新している点が異なります。
軽量級では素早い攻防や継続的な動きが要求されますが、競技力の変化は選手ごとに異なります。そのため、重量級と軽量級の年齢記録を単純に比較するだけでなく、階級ごとの実績を確認することが重要です。
35歳で王座陥落から36歳で再戴冠|復活までの経緯
現在のヴォルカノフスキーを語るうえで欠かせないのが、一度王座を失いながらも、30代後半で再び頂点へ戻ってきた経緯です。
ヴォルカノフスキーが初めてUFCフェザー級王座を獲得したのは、2019年12月のUFC245でした。当時31歳で、王者マックス・ホロウェイを判定で破り、新王者となりました。
その後はホロウェイとの再戦、ブライアン・オルテガ、ジョン・チャンソン、ヤイール・ロドリゲスらを相手に5度の防衛に成功。長期間にわたってフェザー級の頂点に君臨しました。
一方、ライト級王座にも挑戦しましたが、2023年2月と10月にイスラム・マハチェフに敗北。特に10月の再戦では1ラウンドKO負けを喫しました。
そして2024年2月、フェザー級王座防衛戦でイリア・トプリアに2ラウンドKO負け。約4年間保持してきたベルトを失います。
2試合連続のKO負けとなり、当時35歳だったヴォルカノフスキーについては、年齢による衰えや今後の現役生活を心配する声も出ていました。
しかし2025年、トプリアがライト級へ転向してフェザー級王座を返上すると、ヴォルカノフスキーに再びチャンスが訪れます。
4月のUFC314ではディエゴ・ロペスとの王座決定戦に出場し、36歳で判定勝利。約1年2か月ぶりにフェザー級王座を取り戻しました。
さらに2026年1月31日(現地時間)のUFC325では、ロペスとの再戦でも判定勝利。37歳で第2次王座の初防衛に成功しています。
そして今回、38歳でイヴロイエフをTKO。35歳でベルトを失い、36歳で奪還、37歳と38歳で防衛するという復活劇を完成させました。
年齢を重ねても王座戦に出場し続けているだけでなく、無敗の挑戦者をフィニッシュしたことが、今回の勝利の大きな意味といえるでしょう。
フェザー級王座戦9勝・通算7度の防衛で歴代記録を更新
UFC333での勝利によって、ヴォルカノフスキーはフェザー級王座戦で通算9勝を記録しました。これは、それまでジョゼ・アルドが保持していた8勝を上回る歴代最多記録です。
また、王座防衛成功は通算7回となり、アルドと並ぶフェザー級歴代最多タイとなりました。
ここで注意したいのは、王座戦での勝利数と防衛回数は同じではないという点です。
- 2019年:ホロウェイを破り、初めて王座獲得
- 2020〜2023年:最初の王座で5度の防衛に成功
- 2025年:ロペスを破り、2度目の王座獲得
- 2026年1月:ロペスとの再戦で初防衛
- 2026年10月:イヴロイエフを破り、2度目の防衛に成功
つまり、王座獲得が2回、防衛成功が7回で、合計9勝となります。
一方、アルドはUFCフェザー級王者として7度の防衛に成功しました。WEC時代の実績は別に集計されるため、UFCでの防衛記録とは区別する必要があります。
ヴォルカノフスキーは今回の勝利によって王座戦の勝利数では単独トップとなり、防衛回数ではアルドに並びました。
今後さらにフェザー級王座を防衛すれば、通算8度目の防衛となり、この記録でもアルドを上回ることになります。
ただし、次戦でフェザー級王座を防衛するか、ライト級王座に挑戦するかについては、現時点で正式決定していません。
38歳でも無敗のイヴロイエフを倒せた勝因
今回の相手イヴロイエフは、決して戦績だけが優れた挑戦者ではありません。UFC参戦後は10連勝し、ディエゴ・ロペスやアーノルド・アレン、アルジャメイン・スターリングなどを相手に勝利を重ねてきました。
特に得意としているのはレスリングです。相手に組み付き、テイクダウンやポジションコントロールを重ねることで試合の主導権を握ってきました。
しかし、今回のヴォルカノフスキーは、倒されても長時間寝かされることなく、素早く立ち上がって打撃戦へ戻すことに成功しています。
これはヴォルカノフスキーが以前から得意としてきた、レスリングと打撃を組み合わせた総合力の高さを示す場面でした。
また、第2ラウンドでは前に出る圧力を強め、イヴロイエフが後退する場面を増やしました。終盤には左フックから右ストレートを当て、相手が崩れた瞬間を逃さずパウンドにつなげています。
技術面から見ると、今回の勝利には次の要素が大きく関係したと考えられます。
- テイクダウンを許しても、素早く立ち上がる対応力
- レスリングの攻防から打撃戦へ戻す技術
- 相手との距離を調整しながら前に出る判断力
- 打撃で崩した後、すぐにフィニッシュへ持ち込む決定力
38歳という年齢だけを考えると、若い選手にスピードや運動量で劣るのではないかと思われるかもしれません。
しかし、ヴォルカノフスキーは単純な身体能力だけに頼るのではなく、長年の経験で培った技術や距離感、状況判断を生かして戦っています。
もちろん、今回の1試合だけで加齢による影響がまったくないと断定することはできません。それでも、20戦無敗だった32歳の挑戦者を相手に、自分の得意な展開を作ってTKO勝利したことは、現在の競技力を示す強い根拠になっています。
ヴォルカノフスキーは引退するのか?次戦はライト級王者ゲイジーを希望
38歳での王座防衛となったことで、今後どこまで現役を続けるのかにも注目が集まっています。
ヴォルカノフスキーはUFC333の試合後、まだ戦い続ける可能性を示す一方で、ライト級王者ジャスティン・ゲイジーとのスーパーファイトに関心を示しました。
ゲイジーも38歳であり、実現すれば同世代のベテラン王者同士による対戦となります。
10月25日の試合後会見では、ゲイジーとのタイトルマッチが実現するなら、それを引退試合にしてもよいという考えを明らかにしています。
さらに、その試合では勝敗に関係なく引退することも可能だと説明しました。これは、自分がライト級王座を獲得した場合でもベルトを返上し、若い選手たちのタイトル争いを妨げないようにしたいという考えによるものです。
UFCのダナ・ホワイトCEOも、ヴォルカノフスキーほどの実績を持つ選手であれば、本人の希望を考慮する姿勢を示しています。
ただし、2026年10月26日時点でゲイジーとの対戦が正式決定したわけではなく、ヴォルカノフスキーが引退を発表したわけでもありません。
今後もフェザー級王座の防衛を続ける可能性は残されています。また、ライト級のタイトル争いにはアルマン・ツァルキヤンらも関わっており、次戦がどのような形になるかは不透明です。
ヴォルカノフスキーは過去にイスラム・マハチェフとのライト級王座戦で2度敗れています。もし再びライト級王座に挑戦することになれば、フェザー級での記録に加え、2階級制覇の可能性にも注目が集まることになります。
まとめ|38歳での防衛はフェザー級の歴史を変える勝利
UFC333でアレクサンダー・ヴォルカノフスキーは、20戦無敗だったモフサル・イヴロイエフを2ラウンドTKOで下し、38歳でフェザー級王座の防衛に成功しました。
UFC全体ではランディ・クートゥアなど、38歳以上で王座を防衛した選手も存在します。しかし、フェザー級で38歳の王者が防衛に成功したことは、歴代最高齢記録を更新する特別な出来事です。
ヴォルカノフスキーは2025年、36歳で王座を奪還した際に、男子フライ級からライト級までのタイトルマッチで35歳を超えた選手が勝てないという長年のジンクスを破りました。
その後も37歳、38歳と防衛を重ね、今回の勝利ではフェザー級王座戦通算9勝、王座防衛通算7回を記録しています。
35歳で王座を失い、一度は衰えを心配されながらも、30代後半で再び世界最高峰の舞台に立ち続けているヴォルカノフスキー。今回の勝利は、その復活が一時的なものではなかったことを示しました。
今後はフェザー級で歴代最多となる8度目の防衛を目指すのか、それともライト級王者ゲイジーとの一戦を最後の大勝負に選ぶのか。38歳のヴォルカノフスキーが次にどのような選択をするのかにも注目です。
主な参考資料と確認日
情報確認日:2026年10月26日。UFC公式記録、2025年のUFC314・2026年のUFC325・UFC333の結果、過去の王者の防衛記録、試合後会見の報道などを確認しています。「35歳の呪い」は男子フライ級からライト級までのタイトルマッチに関する過去の記録であり、UFC全階級や女子の試合を含むものではありません。次戦や引退については、現時点で正式決定していない内容を含みます。
- UFC公式|UFC333メインカード結果(2026年10月24日)
- UFC公式日本語サイト|UFC333大会・試合結果
- UFC公式|アレクサンダー・ヴォルカノフスキー選手プロフィール・戦績
- ABC News|UFC314王座奪還・35歳を超える軽量級王座戦の過去記録(2025年4月13日)
- UFC公式|UFC333公式スコアカード
- UFC公式|ジョゼ・アルド選手プロフィール・王座防衛記録
- UFC公式|UFC74 ランディ・クートゥア対ガブリエル・ゴンザーガ
- UFC公式|UFC230 ダニエル・コーミエ対デリック・ルイス
- UFC公式|UFC259 ヤン・ブラホヴィッチ対イスラエル・アデサニヤ
- UFC公式|UFC333後のダナ・ホワイトCEO会見(2026年10月25日)
- MMA Fighting|ヴォルカノフスキーがゲイジー戦と引退の可能性に言及(2026年10月25日)
- ゴング格闘技|UFC333試合詳報(2026年10月24〜25日)


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