難民からUFCフライ級の新星へ──ジョシュア・ヴァンとは何者か?ジョシュアヴァンの経歴のまとめ
2025年6月28日(日本時間29日)に行われたUFC317にて行われた試合、UFCフライ級でもっとも注目を集める存在となっているファイターが現れました。──その名はジョシュア・ヴァン(Joshua Van)です。
ミャンマー出身というユニークなバックグラウンドを持ち、鮮烈な打撃スタイルと驚異的な成長スピードで世界のMMAファンを魅了し、UFC317ではランキング1位のブランドン・ロイバル(Brandon Royval)に勝利したことで、世界中でジョシュア・ヴァンとは何者なのか?と大きな話題になっています。
この記事では、彼の人物像から戦績、ファイトスタイル、そして今後の展望まで詳しく紹介する。
基本プロフィール
項目 | 内容 |
---|---|
本名 | Joshua Van Bawi Thawng(ジョシュア・ヴァン・バウィ・サウン) |
リングネーム | Joshua Van(ジョシュア・ヴァン)、通称「The Fearless」 |
生年月日 | 2001年10月10日(23歳) |
出身地 | ミャンマー・チン州ハカ |
国籍 | アメリカ・ミャンマー(二重国籍) |
身長・リーチ | 165cm・165cm |
所属チーム | 4oz. Fight Club(テキサス州ヒューストン) |
戦績 | 16戦14勝(7KO・2SUB・5判定)、2敗 |
幼少期:難民としての出発点
ジョシュア・ヴァンは、ミャンマーの山岳地帯・チン州ハカで生まれ育ちました。幼い頃から軍事政権(SPDC)の影響にさらされ、10歳で家族とともにマレーシアへ難民として脱出。12歳でアメリカ・テキサス州ヒューストンに移住しました。
この地で格闘技に出会い、高校時代からその才能を開花させていきました。
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プロキャリアの始まりとFury FC王者
2021年、地元の「Fury Fighting Championship(Fury FC)」でプロデビュー。持ち前の打撃力と勝負勘で連勝を重ね、2022年12月にはリアネイキドチョークで2R一本勝ちを収め、同団体のフライ級王者となった。
UFC参戦と華々しい戦績
初参戦から快進撃
- 2023年6月:UFCデビュー戦でザルガス・ジュマグロフにスプリット判定勝ち
- 同年11月:ケビン・ボルハスにユナニマス判定勝ち
2024年の躍進
- 1月:フェリペ・ブネスに2R TKO勝利
- 7月:チャールズ・ジョンソンにKO負け(UFC初黒星)
- 9月:エドガー・チャイレスに判定勝ち
- 12月:コーディ・ダーデンに判定勝ち
2025年前半:連戦連勝の波に乗る
- 3月:鶴屋怜(当初ブルーノ・シルバ予定)と対戦。無敗の強豪・鶴屋を判定で撃破。
→ 鶴屋の強力なレスリングを無効化、ほぼ全てのタックルを終始切り続け打撃で圧倒。テイクダウンディフェンスの高さとボクシングスキルが際立った試合内容でした。 - 6月(UFC316):再設定されたブルーノ・シルバ戦で3R TKO勝利。
→ 卓越したボクシング技術を見せつけ、ブランドン・モレノに匹敵すると称賛される。 - 6月28日(UFC317):ブランドン・ロイバル(Brandon Royval)に判定勝利。
→ もともとモレノvsケイプの試合だったが、ケイプの怪我により代打参戦。足の指を骨折していた中で蹴りを封印し、パンチだけで戦い抜く。壮絶な打ち合いの末、3R終了直前にロイバルからダウンを奪い、3-0の判定勝利を収めた。この勝利により、ヴァンはフライ級のトップ戦線へと一気に浮上した。
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主な記録と実績
- Fury FCフライ級王座(元王者)
- UFCフライ級での記録(※2025年6月時点):
- 1分あたり有意打撃数:8.20(UFC史上最高)
- 打撃差(着弾−被弾):+2.94(フライ級最高)
- 有意打撃総数:1,053発(歴代3位)
- 総打撃数:1,325発(歴代4位)
- 打撃成功率:54.9%(歴代5位)
- UFC5連勝(フィゲイレド、平良達郎と並ぶ)
ファイトスタイルの特徴
ジョシュア・ヴァンの最大の武器はスピードと精度を兼ね備えた打撃と言われています。打撃スタイルはONEのロッタンを彷彿とさせ、SNSでは“MMA版のロッタン”とも称されています。
- 打撃中心だが、リアネイキドチョークなどサブミッションも使えるハイブリッド型
- 体格は165cmとフライ級でも小柄だが、異様に発達した太ももが特徴的で、パンチの強さやレスリング耐性の源とも言われている
実際、日本人UFCファイターで無敗のレスラー・鶴屋怜戦ではほぼすべてのタックルを切り、ブルーノ・シルバ戦ではボクシングで圧倒。その柔軟性と攻撃力は折り紙付きです。
今後の展望:王座挑戦へ
ブランドン・ロイバル戦勝利直後、アレッシャンドリ・パントージャ(Alexandre Pantoja)とのタイトルマッチが確定的となった。
パントージャはその後の防衛戦でカイ・カラ・フランスを圧倒し一本勝利。試合後にはジョシュア・ヴァンがオクタゴンに登場し、両者が対戦を承諾。年内にもタイトル戦が行われる見通しであると思われます。
まとめ:アジア発、世界を制する“Fearless”
難民としてアメリカに渡り、Fury FCからUFCまでのし上がったジョシュア・ヴァン。
その歩みはミャンマー初のUFCファイターとしての誇りを背負いながら、フライ級の記録を次々と塗り替える物語でもある。
足の骨折を押して3週間後に連戦し、トップランカーを撃破するその姿勢は、まさに“Fearless(恐れを知らぬ者)”。
今、UFCフライ級に新たなスターが誕生したと言っても過言ではありません。
今後の王座戦、そしてさらなる階級での挑戦にも注目が集まっています。
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